2012年2月24日金曜日

ホルムズ海峡

ペルシャ湾は、アラビア半島とイランとの間に横たわる長大な湾である。ペルシャ湾は、ホルムズ海峡を経由してインド洋のオマーン湾に通じている。ホルムズ海峡はイラン~オマーン間を隔てる幅30km程度の狭い海峡である。
イラン国旗・オマーン国旗を右に示す。

ペルシャ湾の湾岸諸国は、イラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・アラブ首長国連邦であり、何れも豊富な産油量を持つ国々である。従ってホルムズ海峡は、湾岸諸国からの原油を運ぶタンカー船団の唯一の通り道となっている要衝である。

米国は、イランの核技術開発に多大の懸念を抱いており、石油代金の決済を禁ずる「金融制裁」を加えるとともに、様々な恫喝を試みている。

米国は、米海軍第五艦隊原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を、2012/1/22急遽ホルムズ海峡を通過させ、ペルシャ湾内に配備した。
オバマ米大統領は、イランに核兵器開発の兆候有りと主張して、「イラン制裁に如何なる手段も排除せず」とイランに対し凄まじい恫喝を行っている。

イランは日本とは真逆で、米国には敢えて「NO」と言い張る根性の持ち主である。1980/9/22~1988/8/20のイラン~イラク戦争で、世界中を敵に回しながら戦い抜き、勝利を得たイランである。イスラム革命の波及を恐れ、世界中が反イランであった。
イラン~イラク戦争は、米国から多大の武器援助を受けていたイラクのサダム・フセイン大統領が仕掛けた戦争である。
オバマ米大統領の様々な恫喝も、イラン最高指導者アフマディネジャド大統領には、大した効果も期待できないと思われる。しかし今回だけは湾岸諸国や石油輸入国を巻き込む大問題であり、イランも極めて沈着冷静に穏便に対処しているようである。従ってホルムズ海峡が封鎖される様な事態は、起こらないと思う。

「経済制裁」は、その対象国との間に「戦争が起こるリスク」を伴う『危険極まりない』政治判断である。私は日本国が如何なる経済制裁に加担する事にも反対します。
イランの穏便な対処により、ホルムズ海峡封鎖は無いと思いますが、万一の場合の対策は考慮しておく必要があります。その場合原発の稼働にも期待しますが、備蓄石油の放出も必要です。石油の備蓄は独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」で行はれており、民間備蓄・国家備蓄合わせて半年分程度です。情勢を見ながら、この半年程度の間に、官民挙げて原油の新しい買い付け先探すことになるのでしょう。

『「イランは悪の枢軸」などと言う、米国の極めて得手勝手な世界観』は大間違いです。イランの言い分の方が、余程筋道が通っています。
イランは核不拡散条約(NPT)に加盟しており、国際原子力機関(IAEA)の監査を受けています。NPTを脱退し、IAEAを国外に叩き出した「北朝鮮」とは大違いです。
イランはウラン濃縮工場を建設し、現に濃縮ウランを製造していますが、原子力発電用燃料の製造用だと言っています。間違いなくロシア国営企業ロスアトムの協力を得て、イラン南部のブセールに原子力発電所を建設しております。

しかし「イランがいつまでも核兵器を持たない」という保証は全くありません。
イランの東隣国パキスタンは核兵器を持っており、西隣国イラクは国連査察団を何度も受け入れ、「大量破壊兵器」を持たない事を確認してから、『多国籍軍』という摩訶不思議な呼称の『枢軸国軍』に蹂躙され、未だに平和が訪れていません。この現実を見れば、「イランの核武装は将来有り得る」と考えるのが当然である。だからこそ米国は苛立っており、米国に対して敢えて「NO」と言うイランを不気味に感じているのである。

我々はホルムズ海峡情勢を気にしながら、危機意識を持って日本政府の動き方を注視し続けなければならない。東日本大震災の復興は勿論大切ですが、ホルムズ海峡の万一の封鎖の際は、迅速な行動が必要である。石油備蓄の半年間が勝負である。

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