2014年7月16日水曜日

朴正煕大統領と朴槿恵大統領

朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(1917-1979)は、第5~9代の大韓民国の大統領である。
1963年、腐敗と混乱の中にあった「政治」と「軍」の中にあって、朴正煕は改革派を率いて決起し、クーデターにより政権を奪取した。独裁政治を推し進めるためKCIA(韓国諜報機関)による国内弾圧を進めたが、1979年10月側近の金載圭により暗殺された。

初代大統領は、李承晩(イ・スンマン)である。1950年の朝鮮動乱(北朝鮮軍の韓国侵入:1950~1953)の際、大統領は「李承晩ライン」を勝手に設定し、「海洋主権宣言」を一方的に行った。国際慣行を全く無視した非合法な『軍事境界線』の宣言である。韓国では『平和線:ピョンファソン』と呼称している。『軍事境界線』は、日本海と東シナ海に設定されていた。
単純に言えば、武力による『韓国の漁業専管水域の設置宣言』である。「平和線」を越えた日本漁船は片っ端から拿捕(だほ)された。抑留された日本漁民は4千人近くに達した。韓国との国交の無い『占領下:オキュパイド』(敗戦国)日本であったが、もちろん強硬に抗議した。米軍も「国際法上の慣例無視」と強く抗議してくれた。「李承晩ライン:平和線」内に日本領土竹島(韓国呼称独島:トクト)があったからである。

1965年、朴正煕大統領の下で「日韓基本条約」が締結された。またこれに付随する協約・協定等で日韓関係の正常化が進められて行った。竹島問題は双方の合意で棚上げにしておくことを前提にしていた。

これに関連した「財産・請求権・経済協力協定」により日本政府は、韓国政府に対し無償3億ドル・有償2億ドルの政府援助と、民間融資3億ドルの支援を行っている。当時の日本の外貨準備高は18億ドル程度であり、驚くべき多額の援助であった。しかも360円/ドルの交換レートであった。当時の韓国の国家予算は、わずか3.5億ドル程度である。
この協約締結の際、日本政府は「韓国人への個人補償は、日本政府が行う」と提案したが、韓国側が拒否した。『韓国が日本の経済協力金を一括して受け取り、韓国政府の責任において韓国人の個人補償を行う』ことで合意している。このために驚くべき多額の経済援助となった訳である。
ところが2010年韓国政府(李明博:イ・ミョンバク)は唐突に、「慰安婦」・「樺太残留韓国人」・「原爆被害韓国人」は別だと言い張り、日本政府に補償を要求してきた。日本政府は困惑したと思うが、『別だとする論拠』が私にはさっぱり分からない。

本論に戻り、朴正煕大統領はその驚くべき多額の経済援助を元手に、国内のインフラ整備や企業投資等に使用し、「漢江(ハンガン)の奇跡:(驚異的経済成長)」を達成した。実に秀でた手腕を持つ政治家であった。

朴槿恵(パク・クネ)大統領(1952年~)は、大韓民国第18代大統領(2013年2月25日~)である。朴正煕大統領の次女である(先妻の姉がいる)。西江(ソガン)大学校(ソウル特別市に本部のあるミッション系の私立大学)電子工学科卒の「理系女」である。
卒業後フランスに留学したが、1974年8月母親が暗殺されたため急遽帰国した。父親朴正煕大統領も1979年暗殺されており、朴槿恵大統領は暗殺により両親とも失ってしまっている。

韓国は伝統的に暗殺が多い国ではないかと思われる。伊藤博文を暗殺した安重根(アン・ジュングン)を韓国では英雄視して、ソウル特別市に「安重根記念館」が設立されている。また韓国海軍には「安重根」と名付けられた潜水艦もある。

朴槿恵大統領治下の大韓民国には、日本が学ぶべき先進的な制度や技術が数多くある。
  • 発送電分離と送配電業務の国有化
  • 原子力発電所の設計建設技術と運転技術
  • 使用済核燃料の再処理放棄政策
  • 国の債務残高
1.発送電分離と送配電業務の国有化

1961年7月に韓国電力株式会社が発足し、電力設備の建設・整備を進めていった。1982年国有化が行われ韓国電力公社(KEPCO)が設立された。送配電を担当する公社であり、株式の51%を国が保有している。
韓国電力公社は、「水力・原子力発電会社」の他5つの発電会社を保有している。

韓国は、電力公社を意図的に赤字にして、電気料金を安く設定している。
その結果として、日本の電気料金の1/3程度であり、国内産業の輸出競争力を強めている。
また韓国人1人当たりの電力使用量(kw/人)は日本人の1.3倍である。

2.原子力発電所の設計建設技術と運転技術

①設備利用率が極めて高く95%以上である米国90%フランス76%日本58%である。
 (2008年統計)

②韓国の原発は殆ど全て「加圧水型」である。福島第一原発の様な「沸騰水型」原発は1基も建設      していない。

③国策として原発の改良と標準化を進め、国内の原発増設を強力に進めると同時に「原発輸出」も推進する。

④ウラン濃縮工場を持っていない(日本は持っている)が、低濃縮ウランを米国から輸入し、原発用燃料集合体の製造を行っている。

稼働中の原発は25基(2014年推定)に及ぶ。(日本の原発54基は全て停止中)

⑥古里・月城原発~福岡約200km。(福島第一~東京約200km)



3.使用済燃料の『再処理放棄政策

①日本は燃料再処理工場を下北半島『六ケ所村』に建設したが、試運転終了の予定日は2009年2月から延長に次ぐ延長が繰り返された。現在のところ2014年10月が予定されているが、延長される可能性が高い。

②日本の再処理工場の建設費用は7600億円から恐らく3倍以上に膨らんでしまっている。

③韓国は再処理放棄の簡便で賢明な政策を行っている。

④各発電所に使用済核燃料の保管プールを造らせ、使用済核燃料をプール中で冷却保管させるだけである。費用はけた違いに安くなる。

4.国の債務残高

①韓国の債務残高は、2014年4月推計で531兆ウォンである。為替相場は0.0972ウォン/円であるから54.6兆円程度である。

②日本の債務残高1000兆円に比べたら、けた違いに小さく塵のようなものである。

③ただしこれは韓国の建前論であって、最近「国際通貨基金:IMF」から嘘をつくのは止めろと脅かされ、韓国の『対外債務残高』は韓国政府・地方政府・個人を含めると200兆円に及ぶと自白したようである。

④韓国が破綻して一番困るのは米国の様で、目下のところ米韓が組んで「200兆円の肩代わりを日本にやらせる」画策に躍起になっているようである。


以上が、日・韓の現代史に関する私の歴史認識であります。
 
以上