2019年1月10日木曜日

第82話 ダイナマイトと核兵器


2018年ノーベル賞受賞の本庶佑(ほんじょ たすく)京都大学名誉教授の羽織袴の和服姿は、びっしり決まり 実に素晴らしかった。日本人の誇りを実感した。
『ノーベル生理学・医学賞』の受賞である。

ノーベル(18331896年)は、スウェーデン人で ダイナマイトの発明開発で 巨万の富を得た。
ダイナマイトは、ニトログリセリンを主剤とする爆薬(火薬)であり、当時は ニトログリセリンを安全に取り扱う技術が未開発であった。

ノーベルは、1866年に ニトログリセリンを珪藻土に沁み込ませて安全化し、雷管を発明して、起爆を制御する方法を開発した。
1875年には珪藻土に替えて、低硝化綿を使用し爆発力を高めたダイナマイトを開発している。

ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者 アルフレッド・ベルンハルド・ノーベルの遺言により始まった。
スウェーデン国王(兼ノールウェー国王)オスカル2世が、1900年『ノーベル財団設立法令』を公布し、ノーベルの遺言が実行された。

ノーベル賞の受賞は、1901年から開始されている。
最初の受賞分野は『物理学、化学、生理学・医学、文学、平和』の5分野であった。
平和賞のみが、団体での受賞が認められている。

「経済学賞」は、「スウェーデン国立銀行」の設立300周年祝賀の一環として設立されたもので、ノーベル財団では、『ノーベル賞ではない』としている。
従って、単に「経済学賞」という言い方が一般的である。

ノーベル賞の「パロディー」版に『イグノーベル賞』と言うのがある。
1991年に、ユーモア系科学雑誌の編集長マーク・エイブラハムズが創設した賞である。
日本は『イグノーベル賞』受賞の常連国であり、イギリスも日本に次いで受賞の多い国である。
9月か10月に『イグノーベル賞』受賞者が決定され、本人に通知されるが 受賞しても 賞金はゼロである。

選考はハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の教授らによる選考委員会の審査を経て行われる。
受賞式は、米国のハーバード大学(マサチューセッツ州)で実施される。
受賞者の旅費・滞在費などすべて全額 自己負担で、なおかつ 授賞式に参加している聴衆たちから『笑い』を獲得するのが必須条件となっている。
授与式に欠席する受賞者も、少なくない様である。

1995年フランス共和国第22代大統領 ジャック・ルネ・シラク 氏は、南太平洋ムルロア環礁 で数度にわたる『水爆の核実験』を強行し、国際的な非難を浴びた。
これに「悲憤慷慨」し 強烈な皮肉を込めて、フランスのシラク大統領への『イグノーベル平和賞』の受賞が決定された。

私は、シラク大統領は 授賞式を欠席したと確信している。
必須条件の「参加している聴衆たちから『笑い』を獲得する」事が全く絶望的だからです。
笑い』ではなく『嘲笑(ちょうしょう)』の嵐に見舞われるのが必定と推察できます。

米国はもっと早く 1954年に太平洋上の『ビキニ環礁:現在のマーシャル共和国』で水爆実験を行っている。
『イグノーベル賞』の発足は1991年であるから、其れよりも40年も前の話である。

『ビキニ水着』は素晴らしいが、米国の「ビキニ環礁 水爆実験」との関係について、 私の個人的な研究は 残念ながら未着手のまま放置している。

それよりも 米国の水爆実験で、「犠牲者」が出たことの方が 遥かに重大な問題である。
日本の漁船「第5福竜丸」が、米国のビキニ環礁での水爆実験に巻き込まれ、死の灰を浴(あ)びて 被爆し その半年後に無線通信士の久保山愛吉さんが死亡した。

ロシア生まれのオランダ人 アンドレ・コンスタンチノビッチ・ガイム1958年―60歳:2019年現在」は、物理学者である。現在は「ラドバウロ大学:オランダのキリスト教大学」の教授である。

2000年、英国プリストル大学 マイケル・ビクター・ベリー との共同研究で 蛙の磁気浮上の「デモンストレーション実験」が大変 大衆受けして、『イグノーベル物理学賞』を受賞した。

所が アンドレ・ガイム は、2010 ロシア人 コンスタンチン・セルゲーエヴィチ・ノボセロフと共同で、『ノーベル物理学賞』を受賞した。
初の両賞受賞である

オランダ人 アンドレ・コンスタンチノビッチ・ガイム は、『イグノーベル物理学賞』と『ノーベル物理学賞』の双方を受賞した最初の人である。

以上