2009年11月21日土曜日

天下り

 天下りの開祖は瓊々杵命(ににぎのみこと)である。高天原から高千穂の峰を経由して、豊葦原千五百秋の瑞穂の国(とよあしはらちいほあきのみずほのくに)に天下り給ひ、我等が日本国が造られてきた。神話時代の話はこれでお終いにする。

 現在の独立行政法人への役人の天下りシステムの基礎を作ったのは、橋本龍太郎内閣である。「現業・サービス」業務を省庁から切り離す目的で独立行政法人を造ったが、その数は百を遥かに超え今や天下り役人の楽園と化してしまった。
 「独立行政法人通則法」の目的を要約すれば下記となる。

  1.公共上不可欠な事務・事業
  2.国が直接実施する必要のないもの
  1.と2.の両方を同時に満たす「事務・事業」を「効率的かつ効果的」に行わせる目的で、各独立行政法人を設立する。

 全くややこしい言回しをするものである。「公共上不可欠な事務・業務」の一部を独立行政法人にやらせる、と言えば済む話である。 「効率的かつ効果的」と謳ているが、税金の使用効率の点で再吟味が必要だろう。

 民主党はマニフェストで天下りの根絶を掲げているが、容易に達成できる話ではない。普通の天下り先のポストの大部分は、幹事・監事・理事・役員会役員等である。但し、嘱託等の隠れ蓑で、職員名簿に記載されない天下りも活用されているので、職員名簿だけでは全容把握は出来ない。
 嘱託の天下り等を禁止すれば、彼等は「委託・御託」等々適当に名前を変えて同じような事をやるだけである。

 根本的には、独立行政法人の大幅な整理統合を行い、独立行政法人の数を徹底的に減らすことである。更に特別会計を公開し、特別会計の徹底的な見直しにより、糧道を断つことである。
 役人は定年まで役所に残って、「公共上不可欠な事務・業務」を行えば良いのである。税金の使用効率が悪いので、業務を独立行政法人に任せる必要など全くない。省庁の事務・業務として省庁が直接行えば良いのである。

 一方、特別会計の透明化についてはやるべき事が山ほどある。役人は全員定年まで(定年延長してもよい)役所に残って、特別会計の透明化の実現に努力してほしい。
 特別会計透明化の要点は下記である。

 1.特別会計間の金の出入りを禁止する。金の出入りは「特別会計~一般会計」間に限定する。
 2.特別会計の連結決算報告書を公開する。
 3.報告書には責任者の官職・氏名を明記する。
 4.会計年度終了後、6か月以内に報告書を公開する。

 こんなことはどの会社でもやっている事である。今まで国がやっていなかったのが全くおかしいのである。システム構築に全力を挙げて取り組み、早急に実現させてほしい。
 

2009年11月17日火曜日

無言館


10/20朝上山田温泉を出発。上田市で上田城址を見学後、上田電鉄「別所線」に乗り塩田町下車。バスで「無言館入口」に行く。
 無言館は戦没画学生達の遺作を展示している展示館である。太平洋の島々で戦没して逝った、あまたの有為の若き画学生達の遺作を観てゆくと胸の締め付けられる思いがするのである。
 外に出て胸一杯に空気を吸い込んで秋の信濃の空を見上げた時、もっともっと大きな感傷が込上げて来た。太平洋戦争末期昭和18年に大規模な「学徒出陣」が行われた。無言館に遺作を残した多くの画学生も、この学徒出陣で太平洋の島々に送られたに違いない。しかし「学徒出陣」は画学生達だけではない。恐らくは10万人を超える文系の学生たちが招集を受け、出征して行ったに違いない。そして又その出征学徒の大部分は、勉学半ばの20年余の短い人生を、戦争により終えさせられてしまったのであろう。この10万の学徒達が何を残して散って行ったのだろうか。「きけわだつみの声」である。
 秋の信濃は素晴らしい。
 国破れて山河あり。錦秋の中の無言館。