2012年12月5日水曜日

対韓外交

対韓外交の懸案の課題は、『竹島問題』であろう。2012年8月李明博(イ・ミョンバク)大韓民国10代(10人目)大統領が『竹島』上陸を行った。同氏の任期満了は2013年2月であった(2012年12月19日改選予定)。落ち目の政治家ほど領土問題で国民感情を煽るものである。

尖閣諸島では、石原慎太郎東京都知事(当時)が2012年8月頃、尖閣諸島購入の意思表示をしていた。彼の都知事の任期は2015年4月で、不可解な言動であると思っていた。何故東京都が尖閣諸島の土地名義が必要なのか理解に苦しむ話である。
その後の彼や彼の子息の言動を見て、、全てが理解できた。
彼らの今後の政治活動のために、領土問題で大いに国民感情を煽っておきたかったのである。

子息『石原伸晃』氏は、次期自民党総裁(阿部晋三氏当選)に立候補するし、『石原慎太郎』氏自身は都知事を辞任し、第3極の1角として橋下徹大阪市長の『維新の会』と合流し、12月16日(日)の衆議院議員選挙に立候補予定である。

20世紀においては、国民感情を煽り『愛国無罪』を標榜して幾多の戦争が行われ、約1億人の人たちが、戦争で生命を絶たれた。
21世紀は『愛国重罪』とし、領土問題でいたずらに愛国心を煽る行為を戒め、各国家の平和共存を掲げるべき世紀である。

韓国は、地理的にも歴史的にも一番身近な国である。これから極東の兄弟国として、何時までも仲良くしなければならない大切な隣人である。
日本語と韓国語は、基礎語彙は大きく相違するが、語順は主語・目的語・述語の順で、日本語と同様であるとの事である。日本語~韓国語の近い関係がうかがえる。

韓国は、日本同様天然資源にはあまり恵まれておらず、必然的に貿易立国を目指すことになる。ここで韓国と日本についての主要項目の比較を行う。

        日本    韓国
人口     1.264    0.483  億人 日本の人口は韓国の2.6倍

特殊出生率 1.39    1.24  一人の女性が生涯に産む子供の数の平均
                   韓国は日本以上の少子化である。
国内総生産 437     81   兆円
GDP/人  346    168   万円/人
年間発電量 9500    4750  億kw
電力量/人 7520   9830  kwh/人 韓国人は日本人の1.3倍電気を使う
    
電気料金
 産業用  0.158   0.058  $/kwh 日本は韓国の2.7倍
 住宅用  0.228   0.077  $/kwh 日本は韓国の3.0倍

韓国は『発送電分離』が行われている。
韓国電力公社KEPCOは送配電を行う公社であり、株式の51%を国が保持している。
韓国電力公社は下記の6つの発電子会社を持っている。
  1. 水力・原子力発電会社
  2. 韓国南部発電会社
  3. 韓国中部発電会社
  4. 韓国東西発電会社
  5. 韓国西部発電会社
  6. 韓国南東発電会社
韓国のエネルギー政策は、『極東のフランス』を目指しているようである。
『発電電力量の構成比』をフランス・韓国・日本・ドイツについて下記に示す。
(2008年統計)単位: %

        フランス    韓国     日本     ドイツ
原子力   77.1       34.0     24.0      23.5
石炭       4.8       43.2     26.8      46.1
天然ガス   3.8       18.3     26.3      13.9
石油     1.0         3.5     13.0      1.5
水力     11.2        0.7       7.1      3.3
その他    2.1       0.3      2.8      11.8

韓国の原子力発電の特徴を、下記に列記する。

  1. 設備利用率が極めて高く95%以上である。
    米国90%・フランス76%日本58%である。日本は経産省告示で利用率は高くできない仕組みである。
  2. 韓国は国策として、今後原子力発電所の改良と標準化を進め、国内の原子力発電所の増設を急ピッチで進めるとともに、原子力発電所の輸出も推進する。
  3. 原子力発電所用の燃料集合体製造工場を持っているが、『ウラン濃縮工場』は持っていない。濃縮ウランは輸入している。
    日本はウラン原材料の『イエローケーキ』を輸入し、低濃縮ウランを製造している。
  4. 韓国は、原子力発電所で発生する『使用済み燃料』は、『使用済み燃料保管プール』中に保管するだけで、『核燃料再処理』は行わない。
    日本は、『日本原燃株式会社』で再処理することになっている。
    青森県六ケ所村に工場を建設中である。いつまで経っても受け取り試験に合格せず、試運転期間は延長に次ぐ延長を重ねている。目下のところ、完成予定は2013年10月』となっている。
  5. 天然ウランを燃料とするCANDU型原子力発電所を4基持っている。
  6. 韓国の軽水冷却型原子炉は、全て加圧水型(PWR)である。
    日本では、加圧水型と沸騰水型(BWR)の2型式がある。福島第1発電所の事故炉は、沸騰水型のもっとも古い型式(マークⅠ型)の輸入炉であった。
  7. 今後韓国で続々と増設される予定の、新しい原子力発電所はすべて加圧水型である。
  8. 2021年では、韓国の原子力発電所の総数は、32基になる。
    人口割にすれば、日本に比べ極めて多い原子力発電所を持つことになる。
    日本に比べ、1/3程度の極めて安い電力単価と豊富な電力供給量は、経済競争力において圧倒的な差を生むことになる。
日本に比べ、韓国の電力単価が極端に安い理由を下記に示す。
  1. 韓国は、『発電事業』と『送配電事業』が分離されている。
    送配電事業』は公社が行っており、多少赤字気味でも電力単価の値上げをしない。
  2. 日本は、『脱原発』・『卒原発』を全く不用意にやたら宣言しており、足元を見透かされて電力会社は、ジャパンプレミアムで特別高いLNG(液化天然ガス)の長期購入契約を結ばされている。
  3. 日本の電気料金は、総原価方式であり、発電費用に比例して利益金の額も多くなる。
    電力会社は、発電原価が高くなる方をむしろ歓迎する。
    ジャパンプレミアムは気にしない。歓迎する方だと思われる。
原子力発電の分野では、日~韓の間での重要な部分で補完関係が成立し、相互の技術協力は極めて有効であると思われる。今後とも日・韓の友好関係を堅持し原子力における協業関係を深めてゆくのが相互の利益になると思われる。
ただしアメリカは、「核不拡散」を理由に『日韓原子力技術協力』には圧力をかけてくる恐れは多分にある。アメリカとの折り合いはうまくつける必要がある。

  1. 日本が韓国に原子力発電所用燃料の低濃縮ウランを供給する。
  2. 日本は韓国の原子力発電所『使用済み燃料』の再処理を行う。
  3. 再処理後の『再処理燃料』と『高放射性廃棄物』は、両国で夫々自己分を管理する。
  4. 日本は韓国の原発運転管理技術(安定した高稼働率)や運転管理機構等を学ぶ。
以上