2012年8月2日木曜日

日本の総人口の推移予想

● 『死亡率』

総人口の推移予想で極めて重要な統計資料は、「死亡率」と「出生率」である。「死亡率」とは年齢毎の1年間の「死亡者数/(死亡者+数生存者数)」の比率である。通常「10万人中1年間で死亡する人数」で表す。

右の図は、2010年の「死亡率」である。厚生労働省大臣官房統計情報部動態・保健統計課のデータから作成した。縦軸が死亡率、横軸が年齢である。70歳位から、加速度的に急上昇する。
40歳までの「死亡率」を、次の図に示す。男女とも8~9歳「死亡率」最低で、10万人中9人程度の「死亡率」である。

8~9歳を過ぎると「死亡率」に『顕著な男女差』が出てくる。男性は女性の倍近い「死亡率」になってしまう。


● 『平均余命』

死亡率に関連するもう一つの統計項目として、『平均余命』がある。
日本人の当人の年齢から、あと何年生きられるだろうかを知る目安となる。日本人の『平均寿命』は、日本人の「0歳児」の平均余命である。

平均余命も平均寿命も『現在の生存者の半数が死亡するまでの期間』である。単純に言えば、生存者の半減期である。
ともがらの半数が他界するのだから、老人にとっては辛い言葉であろう。

右の図は、厚生労働省の平成21年「簡易生命表」から作成した『日本人の平均余命グラフ』である。平成21年(2009年)のデータである。

縦軸が『平均余命』、横軸が『年齢』である。20歳の男性の「平均余命」は60年であるから、60年後(80歳になるまでに)半分の人が他界する。70歳の女性の「平均余命」は20年であるから、20年後(90歳になるまでに)半数の人が他界する。



● 『出生率』

「出生率」についても、年齢別に『一人当たり1年間に、平均何人の子供を産むか』の統計がある。

右の図は、2009年のデータにより作成した。
またこれらのデータにより、『合計特殊出生率』が算出される。

● 『合計特殊出生率』

これは『一人の女性が、一生涯に産む子供の数の平均値』である。『合計特殊出生率』が2.08を下回ると、その国の人口は次第に減少してゆく。

各国の『合計特殊出生率』を以下に記載する。
2011年頃のデータである。
    1. 韓国        1.24
    2. 日本        1.39
    3. イタリア      1.41
    4. アメリカ      1.93
    5. スウェーデン    1.94
    6. イギリス       1.96
    7. フランス       2.00
日本の『合計特殊出生率』は、1975年頃から2.0以下となり漸減を続け、2005年最低値1.26となった。その後若干上昇に転じ2011年ほぼ平らで1.39となっている。

現在の大和撫子達は、晩婚傾向が進み、一生涯に平均1.39人の子供しか作らない。従って当面は、日本の人口減少が進むことになる。

● 『日本の人口推移』

総務省統計局は、2010年以降の日本の総人口の推移を推定計算している。そのデータをもとに、グラフにしたものが右図である。

2010年の人口が1億2,800万人。今世紀末の2100年の人口は、4,800万人程度である。現在の38%程度の人口になると予想している。

私は、これで良いのだと信じている。

①  国内総生産
真面目で勤勉で利口な日本国民は、人口減少の割合に比べて、国内総生産の落ち込
みは相当以上に緩やかな減少に食い止めると思う。

② 食料自給率
農水省は、「カロリーベース総合食料自給率」と「生産額ベース総合食料自給率」の2種類の統計項目を作っている。
     ● カロリーベース総合食料自給率    39%  2010年
     ● 生産額ベース総合食料自給率     69%  2010年
農水省は、「カロリーベース」を50%以上にするのが悲願の様である。私は貿易立国日本の立場から、『「生産額ベース」69%の現状で既に十分である』と信じている。

今後人口減少が続けば、例え農水省が無為無策でいても、「カロリーベース」50%以上は、いずれ達成されるであろう。

 ③ 遺産相続
先人たちが残した様々の膨大な遺産は、数少ない子孫たちが受け継ぐ。一人あたりの遺産額は相当大きなものになって行く。裕福な子孫たちよ。

④ エネルギー資源
自然エネルギー利用が進み、人口減少に伴って、国内の原子力発電は不用になる。
自然エネルギー利用の進展と人口減少、メタンハイドレート採掘利用等で、燃料輸入量が大幅に減少する。国内CO2発生量は低下してゆく。

⑤ 待機児童の減少
当面は、保育所不足が問題の様であるが、いずれ間違いなく解消されてゆく。

物事には全て、「良い面」と「克服すべき問題点」がある。
「非難」や「反対」は楽である。「克服すべき問題点」だけを声高に主張すればよい。
しかし物事を推し進めるためには、、「良い面」と「克服すべき問題点」の両方に良い解答を出さなければならない。

人口減少の大きな問題点は下記である。

 ① 赤字国債の処理
現在の赤字国債の累積額は1,000兆円を超えている。しかも毎年の赤字国債の発行高は50兆円程度である。2075年には日本の人口は7,000万人以下になる。
この時の国債累積残高は4,000兆円程度になってしまう。国民一人当たり6,000万円程度の政府の借金を背負うことになる。
現在でも国債残高は、GDPの2年分程度であり、「国債残高」/「国内総生産」の比率は、先進国ではワースト1である。
破滅の道を抜け出るためには、『税制の抜本改革』か『インフレ』以外に打つ手は無さそうである。

② 小さな政府・小さな議会の実現
これから人口は顕著に減少してゆくのだから、人口減に見合う議員数・官僚人数の削減が必須・喫緊の課題である。しかし一度膨らんだものを小さくする事には、強力で根強い反発があり大変な労力を払わなければ成就できない。

③大学の整理統合
人口減少により、受験生の数は年毎に減少し、優秀な学生を集めるのが困難になる。
大学の統合整理と、海外留学生の受け入れ拡大が将来の課題となるだろう。
以上

2012年7月11日水曜日

韓国の原子力発電










左上の図は「ウィキペディア」からの引用である。
  • 蔚珍原子力発電所(ウルジン・ウォンジャリョク・バルジョンソ)
  • 月城原子力発電所(ウォルソン・ウォンジャリョク・バルジョンソ)
  • 古里原子力発電所(コリ・ウォンジャリョク・バルジョンソ)
  • 霊光原子力発電所(ヨングァン・ウォンジャリョク・バルジョンソ)
右上の図では、各発電所の基数を知る事ができる。

古里から福岡までは約200kmである。
福島第一発電所から東京までも約200kmである。

エネルギー利用に関しては、韓国は『極東のフランス』を目指しているようである。先ずはフランス・韓国・日本のエネルギー利用事情を紹介する。

2008年統計

国     原子力 石炭  石油  LNG  水力  他       *注 LNG:液化天然ガス
日本   24%   27%  13%   26%    7%   0%
フランス 77%    5%    0%     4%   11%  3%
韓国   34%   43%   4%   18%     1%  0%   

韓国電力公社(KEPCO)の2011年統計では、総発電設備容量7,881万kwの23.7%(1,868万kw)が原子力発電の設備容量である。2010年の年間総発電量4,746.4億kwhの31.3%(1,487.6億kwh)が原子力発電であった。

韓国の原子力発電の設備利用率は極めて高く、95%以上である。米国90%・フランス76%・日本58%に比べ非常に高い。

2010年度の対日比較

国   総発電量    原子力         人口        総発電量/人口
韓国 4,746.4億kwh  1,487.6億kwh    0.48875億人    9,711kwh/人
日本 9,064.2億      2,646.7億       1.27451億      7,112

増大する電力需要に対応し、韓国では今後もさらに多くの原子力発電所の建設が計画されている。2010年~2021年に12基の原子力発電所の建設を計画している。2021年までの計画では、原子力発電所の総基数は32基となる。

原子炉    型式          発電容量(万kw)  稼働開始(西暦年)
古里1号   PWR            58.7          1978
古里2号   PWR            65.0          1983
古里3号   PWR            95.0          1985
古里4号   PWR            95.0          1986
蔚珍1号   PWR            95.0          1988
蔚珍2号   PWR            95.0          1989
蔚珍3号   KSNP韓国標準型  100.0          1998
蔚珍4号   KSNP         100.0          1999
蔚珍5号   KSNP         100.0          2004
蔚珍6号   KSNP         100.0          2005
月城1号   CANDOU       67.9          1983
月城2号   CANDOU       70.0          1997
月城3号   CANDOU       70.0          1998
月城4号   CANDOU       70.0          1999
霊光1号   PWR            95.0          1986
霊光2号   PWR            95.0          1987
霊光3号   System80        100.0          1995
霊光4号   System80        100.0          1996
霊光5号   KSNP          100.0          2002
霊光6号   KSNP          100.0          2002
新古里1号  OPR-1000        100.0          2011
新古里2号  OPR-1000        100.0          2011試運転中
新月城1号  OPR-1000        100.0          2012試運転中
新月城2号  OPR-1000        100.0          2013試運転中
新古里3号  APW-1400       140.0          2013試運転中
新古里4号  APW-1400       140.0          2014建設中
新蔚珍1号  APW-1400       140.0          2015計画
新蔚珍2号  APW-1400       140.0          2016計画
新古里5号  APW-1400       140.0          2018計画
新古里6号  APW-1400       140.0          2019計画
新蔚珍3号  APW-1400       140.0          2020計画
新蔚珍4号  APW-1400       140.0          2021計画

韓国は新開発のAPW-1400の実績をもとに、原子力発電所の輸出に力を注いでいる。
原子力発電技術において、日本は韓国に大差をつけられている。このまま放置すれば、原子力技術の差はますます大きくなってゆくと思われる。
日本は「自然エネルギー・循環型エネルギー利用」の方向を目指しているが、韓国も「自然エネルギー・循環型エネルギー利用」技術の開発に決して手を抜いている訳ではない。
以上  

2012年7月4日水曜日

税金

野田総理は、『税・社会保障一体改革』と呼称する法案の成立に、政治生命を懸ける積りの様である。確かに日本国政府の借金を考えると、増税は必要である。
日本国政府の借金は、2012年度末には1000兆円を超えるかもしれない。たとえこの法案が成立し、消費税率が10%になったとしても、1000兆円の借金に比べれば税収増は微々たるものである。こんな些細なことに『政治生命』を懸けず、税制の抜本改革にこそ『政治生命』を懸けて取り組んでほしいと思っている。

私がここで説明したいのは、下記の2項目である。
  • 国家財政の現状
  • 税制の抜本的再検討
1.国家財政の現状


年度    税収等       国債等借金      一般会計総額

H22    47.0兆円      44.3兆円        92.3兆円       当初予算
H23    48.1         42.3           92.4          当初予算
H24    46.1         44.2           90.3          政府案

毎年の税収と国債発行による借金が略同額であり、国債による借金約44兆円が毎年度積算されてゆく。これは我々の債務というよりも、少子高齢化で今後減少してゆくと思われる日本国の子孫たちの債務となって累積される。
野田総理が政治生命をかけて法案を通し、消費税率を5%から10%に上げてみても税収増は高々13兆円程度である。この金額は、これからの国債発行額が若干減る程度の話で、現在の1000兆円の借金が減らせる可能性は全くない。


Aランク以上の世界各国の国債。

  • AAA 英・独・仏・スイス・カナダ・オーストラリア
  • AA+ 米・ベルギー
  • AA  カタール・スロベニア
  • AA- 日・中・台・クウェート・サウジアラビア
  • A+  スペイン・イタリア・チリ
  • A   アイルランド.韓国
  • A-  ポルトガル
「国債残高/GDP(国内総生産額)」の比率のワースト5を以下に示す。
  • ①日本      200%
  • ②ギリシャ    150%
  • ③イタリア    125%
  • ④フランス     95%
  • ⑤米国       95%
2.税制の抜本的再検討

税制は、『税制調査会』の答申を受けて政府が決めるのである。ただし『税制調査会』は、政府内閣府内の『税制調査会』と、民主党『税制調査会』の2つが並立している。これらの「税調」は、税制の抜本的再検討を行う気配は全くない。ともかく当面の話が最優先である。何らかの理屈で課税を始めた既得権益は、金輪際手放す気は無いらしい。揮発油税・自動車取得税・軽油取引税・自動車重量税・消費税と、自動車にはやたらに沢山の税金が用意されている。
道路特定財源での高速道路の建設は、もう不要である。道路建設以外で景気浮揚策を考える必要がある。

昨今の官僚と政治家は、とにかく横着になってしまった。取り易い所から取り易い方法で課税徴収する事しか考えていない。これは根本的な大間違いである。
たとえ手間暇かかっても、担税能力のある処から、担税能力に応じて公平・平等に課税するのが本道である。政党交付金を廃止し、政治団体・宗教法人に公平・平等に課税しなければならない。『政治団体』・『宗教法人』を非課税にする根拠は全くない。

憲法第十四条
1 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
憲法第二十条
信教の自由は、何人に対してもこれを保証する。いかなる宗教団体も国から特権を受け、又は政治上の特権を行使してはならない。

以上は憲法上の規定である。ところが昭和26年(1951年)宗教法人法が制定され、宗教法人は公益法人とされている。営利を目的としない公益法人は非課税である。なぜ非課税にするのか、ここのところが全く分からない。
宗教の礼拝設備や境内は、宗教法人が管理し、収益を得る場所である。宗教法人が固定資産税を負担するのは当然である。お布施・拝観料やお守り・イコン等の売り上げ・・・は当然課税対象だろう。僧・神官・神父・牧師・たちは、各種お布施等により生計を営み職責を全うできている。これは職業に対する正当な収入であり当然所得税の課税対象である。また入場料やお守り・お札の売り上げに対しては、消費税納入の義務を負うべきである。

消費税率10%もいいだろう。ただし物品税方式にして、生活必需品は無税、贅沢品は20~50%あるいはそれ以上も有っていい。複雑怪奇な酒税も、もっと単純にすべきだろう。
景気浮揚対策をしっかりやり、税制の大改革を断行し、一般会計が税収だけで賄えるようにしないと、日本国は破滅の道を歩むことになる。すでに示しているように、破滅傾向はギリシャを凌いで世界中で日本がワースト1である。

日本の人口が現在の半分6000万人になるのは、2075年頃である。税制大改革が行われない限り、この頃の日本国政府の国債累積額は4000兆円程度になってしまう。我々の子孫は『一人当たり6,700万円程度の借金を背負い込む』ことになっている。こんな事に対して、官僚や政治家が平然として居られるのが不思議である。
以上

2012年4月23日月曜日

北朝鮮の人工衛星打ち上げ失敗

2012/4//13、7時40分頃、北朝鮮は人工衛星『光明星(クァンミョンソン)3号』の打ち上げを行った。
同国北西部・東倉里(トンチャンリ)の西海(ソヘ)衛星発射場から、『銀河(ウーハ)3号』ロケットに搭載した人工衛星の打ち上げである。
ロケットは略真南に発射され、1~2分後高度120km程度まで上昇して爆発し、破片は韓国西方の「黄海」に落下した。北朝鮮には甚だ申し訳ない気がするが、私は失敗で良かったと安堵の胸を撫で下ろしている。

①ミサイル問答
日本の報道では、『人工衛星の打ち上げと呼称する・事実上のミサイル発射』と極めて回りくどい呼び方を繰り返していた。NHKでも似たような耳障りな説明を繰り返し、日本国民に『ミサイル』の印象付けを執拗に試みていた。
日本国民の貴重な歴史的遺産であり、世界に冠たる道徳規範でもある『武士道精神(Sence of Social Justice)』に基づき、今後日本国においては、独立行政法人『宇宙航空研究開発機構』JAXSAが、種子島からH2ロケットで人工衛星を打ち上げる際には、必ず『事実上のミサイル発射』という耳障りな語句を付け加える必要があるものと、私は確信した。

日本のH2ロケットのメインエンジンの燃料は、液体水素・液体酸素であり、燃料装荷に大変な手間暇が掛かる。兵器としての弾道ミサイルにはなり難い。
これに反し、北朝鮮の銀河3号ロケットは、ノドンミサイルがベースとなっているようであり、弾道ミサイルによる衛星打ち上げである。燃料は『ジメチール・ヒドラジン』と推察され、常温で液体であるから、燃料注入にさしたる手間は掛からない。

基本的に、国連が北朝鮮の人工衛星を禁止する権限は持たない。北朝鮮は人工衛星の打ち上げを予め宣言しており、手間暇かけて公開していたのである。何も毎度の報道に、耳障りな語句を恣意的に繰り返す必要はなかったと思う。今回の一連の騒動は、北朝鮮が人工衛星の打ち上げに失敗したのだと、素直に認めてやればいい。

②北朝鮮の気配り
今回の北朝鮮の人工衛星の打ち上げ方法には、きめ細かい配慮がうかがえる。本来なら地球の自転を利用して、東向きに打ち上げるのが定法である。ところが今回は、南向きに打ち上げた。とにかく、海上経由で打ち上げたかった意図がくみ取れる。

前回は、2009/2/5 11:30 「光明星2号」搭載の「銀河2号」ロケットが東向きに発射され、日本の東北地方の上空高度数100km(大気圏外)を通過して太平洋に落下した。前回も人工衛星打ち上げは失敗している。但し北朝鮮は『「光明星2号」の打ち上げに成功した』と、頑強に放送し続けていた様である。
日本の人工衛星打ち上げも、種子島から東に向かって打ち上げ、H2ロケットは洋上を飛翔し太平洋に落下する。

③PAC-3 配備
航空自衛隊は、PAC-3の沖縄への配備に大わらわであった。MIM-104 Patriot が正式名称である。迎撃ミサイルであり、パトリオットの呼称が一般的であるが、自衛隊等の公式名称では『ペトリオット』である。PACは、Patriot Advanced Capability の略称である。

「銀河3号」ロケットが落下してきても、照準操作の訓練だけにして『ミサイル発射』はしないで欲しいと、私は願っていた。
迎撃ミサイルを発射しても、落下物が増えるだけで、かえって危険が増すだけである。かてて加えてもしも命中しなければ、世間の物笑いの種になり、防衛大臣の「参議院の問責決議」だけでは事が収まらなくなってしまう。

④安堵感
とにかく、今回の事の顛末には、ほっとした安堵感が有る。
大騒ぎした割には、大した事はなかった。田中防衛大臣が参議院で問責決議を食らった程度である。北朝鮮も前回の失敗とは大いに異なり、素直に失敗を認めている。かなり普通の国に近づいてきたように見受けられる。

日本国も、なるべく早く北朝鮮に対する経済制裁を止め、万景峰号(マンギョンボンゴウ)の往来を認め、交易再開に努力した方が良い。
北朝鮮は、核兵器とノドンミサイルを持っているが、何時までも敵対視するのは止めたほうが良い。我々は、米・中・露・印等核兵器保有国と普通に付き合いをしているではないか。お互いの経済関係が密接になれば、相互に大切な国同士になるはずである。
以上


2012年4月5日木曜日

世界の燃料消費

米国のオバマ大統領は、イランの核開発に大きな不安を抱いており、イランに対し金融制裁を課している。確かに、イランの核開発は目覚ましく進展している。複数箇所にウラン濃縮工場を建設し、現に濃縮ウランの製造を行っている。当面はイラン南部のBushehrにある原子力発電所用の燃料製造に使用する目的である。

イランは核拡散防止条約(NPT)に加盟しており、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れている。1993年NPTを脱退しIAEAを国外に叩き出した北朝鮮とは大違いである。
(右図はIAEAの旗である。)

イランは、NPTの条約に基づきIAEAの監査を受けながら核開発を行っている。米国から非難される理由がない。
米国オバマ大統領のイランに対する金融制裁の仕打ちは、国際的正義にもとる。米国の「対中東政策」は、イスラム~イスラエルの対立の図式を前提に行われている。イランの核開発は、当然ながらイスラエルにとって我慢のならない大きな脅威なのである。イスラエルは、核兵器保有について『一切のコメントを拒否』している。しかし一般的には「核兵器保有国」と看做されている。もちろんNPTには、最初から加盟していない。

ところが、将来イランが核兵器保有国となった場合、イスラエルの核兵器保有はほとんど無意味になってしまうのである。万一イランから核ミサイルを撃ち込まれると、小さい国土のイスラエルは、核ミサイル1発で壊滅してしまう。一方、広大な国土のイランは、イスラエルから数発の核ミサイルを撃ち込まれても、国が壊滅する事態にまでは至らない。

建国以来、イスラエルは、近隣諸国の核開発に極めて過激に反応していた。1981年サウジアラビヤ経由の飛行ルートで、イラク中部のOsirakにあるイラクの原子炉を爆撃し全壊させている。
しかしながら、イスラエルとイランは1000km以上も離れており、イスラエルが歯ぎしりして悔しがっても、イラク上空での空中給油なしに、イランのウラン濃縮工場を爆撃する事は不可能である。1000km以上の距離は、もはやミサイル攻撃の範囲である。北朝鮮はノドン・ミサイルを中東に輸出しており、射程は1000~1300kmである。イラン東部から発射すれば、イスラエルはノドンの射程内である。

米国にとって、イランの核開発は極めて気懸りであり、強引な金融制裁でイラン締め付けに躍起になっている。日本とドイツは、米国から有難いお目こぼしを頂戴したようである。イランからの石油輸入を減らしているのを評価し『今後もイランから石油を買っていい』との米国のご託宣を得たのである。
私は、「今頃何を言っているのか」といささか驚いた。日本は最近特別に石油輸入を減らしたわけではない。長期間にわたり減らし続けたのだ。過去10年間で日本は30%石油消費を減らしており、ドイツは12%低減させている。

前置きが大変長くなった。本論に戻る。
あらためて、世界の燃料消費について調べてみた。BP社の「Statistical Review of Energy 2010」を眺めていると、様々な事情が見えてきます。以下の議論は、同社のデータを利用した。

①石油消費

世界の5大消費国は、米・中・日・印・露で、トップ5で全世界の石油消費の44~45%を占めている。米国だけで22~24%、中国10%、日本5~6%である。ドイツ7位、イタリア13位、イギリス14位・・・と続くが、フランスはランキングに出てこない。原子力発電が多いためと推測する。
2000~2009の10年間で、米国(25→22%)・日本(7→5%)は漸減、中国(6→10)は急増している。
世界の石油消費は、3600→3900(百万トン)に増加しているので、日本の石油消費の落ち込み(255.5→197.6:百万トン)はかなり大きい。

②天然ガス消費

世界の5大消費国は、米・露・イラン・カナダ・中である。トップ5で全世界の45%を占め、米国は22%である。日本6位(3%)、イギリス・ドイツ・サウジアラビア・イタリアと続くが、フランスはやはりランキングに出てこない。これも原子力発電によると考える。
消費の急増は、イラン(2倍/10年)・中国(3.6倍/10年)である。それ以外は「%表示では」略安定している。
日本は3%で安定しているようであるが、世界の消費量が2400→2900億立方メートルに増大しているので、日本の消費も相応(723→874億立方メートル)に増大している。
日本は、石油から天然ガスに少しづつ切り替わっているようである。

③石炭消費

世界の5大消費国は、中・米・印・日・南アフリカである。石炭消費は、燃料用だけでなく、製鉄用にも使われるので、注意が必要である。
中国は10年間で29→47%に消費量を増大させており、目覚ましい経済発展を遂げた。米国は24→15%に減少した。インド(6~7%)・日本(3~4%)は安定している。世界の消費量が2246.7→3408.6(百万トン)と1.4倍に増大しているが、日本は98.9→108.8(百万トン)と微増である。

③ウラン生産量

ウランの消費量は、殆ど統計がない。やむを得ず生産量を調べたが、BP社の「Statistical Review of Energy 2010」には記載なし。
フランスのAREVA社(世界最大の原子力産業複合企業)が国際原子力機関(IAEA)の会議で報告している資料を見つけたので、これを利用した。「2002~2008年の7年間の年別ウラン生産量」である。
総生産量は35→45ktonに漸増している。カナダ10kton・オーストラリア7~8kton程度で安定している。カザフスタン(3→10kton)の伸びが大きい。ニジェール等アフリカ諸国の産出量も10kton程度で、漸増である。「other CIS」は8kton程度で安定している。『other CIS』とは、カザフスタン以外の『独立国家共同体』の意味である。『独立国家共同体』とは、ロシア・カザフスタン・タジキスタン・ウズベキスタン・キルギス・ベラルーシ・アルメニア・アゼルバイジャンの8カ国である。大部分が中央アジアの国である。

カナダ・オーストラリア・カザフスタンの3大生産国で、ウランの世界生産の略60%を占めている。
以上

2012年2月27日月曜日

台湾の話

正確に書くと『臺灣』である。台湾内部で一般的に使用されている漢字は「台灣」である。日本では「台湾」と書く。
英語ではTaiwanまたはFormosaという。後者はポルトガル語に由来し、「麗しい」の意味である。
何れにしろ『タイワン』の呼称は、原住民の言葉に由来し、漢語や日本語とは無縁の様である。

面積36,000平方キロ(大略九州程度)、人口23百万人程度。
日本と同様に火山が多く、温泉が豊富で、大地震も起こる。中央山地には高山が多く、最高峰は玉山(3997m)で、日本の富士山(3776m)より200m余り高い。3000m以上の山は、133座あり、日本に比べ桁違いに多い。
台湾の旗(国民党)は青天白日旗(右掲)である。

三国時代(220~280)に、中国では「夷州」 の呼称で台湾島が知られていた様である。3世紀末に「魏志倭人伝」で日本の国が知られていたのと同列である。

日本においては、古くは台湾の事を「高砂」とか「高山国」と呼んでいた様である。
室町時代(14~16世紀)には、明国と勘合符による勘合貿易が行われていた。しかし勘合符を持たない密貿易も盛んであり、「南無八幡大菩薩」 の旗を掲げた密貿易船も横行していた。密貿易船は、しばしば海賊にも変身し「八幡船:バハンセン」とか「倭寇」とか呼ばれて恐れられていた。
この頃の高山国には、倭寇や明の海賊 の基地が幾つも作られていたと思われるが、明国が台湾を支配していた形跡は全くない。

16世紀末に日本統一を果たした豊臣秀吉は 、「朝鮮」・「高山国」 ・「呂宋:ルソン:フィリッピン」に『朝貢を促す使者』 を派遣した。 朝鮮とは話がこじれて、二度にわたる「朝鮮派兵」となってしまった。
「高山国」には、原田孫七郎が派遣されたが、倭寇や明海賊の基地は在るものの、使書を渡すべき『国の統一機構』は見つからず、空しく帰朝したようである。(当該使書は、加賀前田家に残されているとの事。)

17世紀になると、1625年台湾近くの「澎湖島」の領有を廻り、明国とオランダの紛争が勃発し、澎湖島は明領とし、台湾島はオランダの領有を認める協定が成立した。 オランダは、台湾に「ゼーランジャ城」と「プロビンシャ城」の要塞を作り、台湾支配を開始した。
この頃の台湾では、日本商人や倭寇の基地が沢山作られており、貿易拠点として使われていた。日本国の関与なしで、明~オランダ間だけの一方的な協定で台湾の帰属が決められたので、その後大きな問題が発生した。

台湾のオランダ支配が一方的に進められ、日本人の台湾基地に貿易税が掛けられる様になってしまったのである。日本人はオランダの貿易課税に強く反発し、遂に浜田弥兵衛はオランダの台湾長官を襲撃する事件を起こしてしまった。  
事件後 浜田弥兵衛は、台湾先住民の代表達を引連れて、徳川三代将軍家光に謁見している。
ところが徳川幕府は厄介な国際問題に困惑し、1639年『鎖国』してしまった。
自国民の権益保護には全く頭が回らず 、重要問題をひたすら回避する腑抜け役人の先例を観る事ができる。  

台湾領有を意図していたのは、オランダだけではない。スペインも1626年台湾北部を領有し、「サン・サルバドル」要塞や 「サン・ドミンゴ」 要塞を作った。オランダ~スペインの確執はあったであろうが、最終的にはオランダがスペインを駆逐し、1642年オランダの台湾全島支配が完成した。
その後植民地の労働力確保のため、対岸の福建省から多数の中国人を台湾に移住させて行った。

明の海賊鄭芝竜(テイシリュウ)が日本の平戸に滞在し、日本人妻「まつ」との間に出来た子が『鄭成功』である。1624年誕生した。1631年鄭芝竜は、妻子を引連れ明に移住し、明朝に仕えた。
1646年明朝は滅亡し、清王朝に代わった。明の官であった鄭芝竜は清に捕縛され、日本人妻「まつ」は 自害して果てた。父母を清に奪われた『鄭成功』は、海賊の首領となり、清王朝に頑強に抵抗を続けた。しかしながら次第に追い詰められ、遂に大陸から逃れて台湾を反抗の拠点にした。
鄭成功は、中国人兵士・家族約3万人を引連れて台湾攻略を開始した。1662年オランダ軍を降伏させ、台湾の支配権を中国側に取り戻した。ところがこの年のうちに鄭成功は他界し、長男鄭経が台湾統治を引き継いだ。
鄭成功は、『国姓爺』とも呼ばれていた様で、近松門左衛門(1653~1725)の人形浄瑠璃 「国姓爺合戦」 は、『鄭成功』の波瀾万丈の生涯をモデルにしたと言われている。
台湾の鄭一族と清王朝の抗争はその後も続いて行くが、1683年鄭一族は遂に清に降伏した。清王朝は1684年台湾領有を宣言した。

大日本帝国の明治政府は、朝鮮半島への権益拡大を狙っていた。李氏朝鮮を属国としていた清王朝と大日本帝国が衝突し1894年日清戦争を始めてしまった。1895年の日清講和条約(伊藤博文-李鴻章)で『朝鮮の独立』・『遼東半島・台湾と澎湖諸島の割与』および賠償金の支払い等を取り決めた。 
これに対し極東への進出を目論むロシア・フランス・ドイツが結託し、日本の遼東半島領有に強硬に反対した。 このため日本は、臥薪嘗胆し「遼東半島領有」を諦めざるを得なかった。
一方ロシアは、遼東半島を租借し旅順要塞を作り、太平洋艦隊の基地として着々と極東進出を進めていった。ドイツは、 遼東半島の対岸山東半島の付根の青島(チンタオ)を租借した。フランスは後に中国南部雷州(レイチョウ)半島北東部の堪江(チャンチアン) を租借した。ロシア・ドイツ・フランスは、結託して日本の進出をくい止めるとともに、清の衰えにつけ込み、やりたい放題をやった様である。

日清戦争で台湾を領有した大日本帝国は、台湾統治に着手したが頑強なゲリラの抵抗に遭い難渋している。台湾北部から上陸し、増援を繰り返していったが全島の制圧までに半年程度を要している。
日本の台湾統治が始まると、特に教育に力を入れ、小・中学校を沢山各地に作り、高校・大学も台湾に設立した。台湾の人々に、日本人としての教育を受けさせたのである。

1941年太平洋戦争が始まると、台湾の人々も約30万人が日本兵や軍属として戦争に送り出された。誠に幸いな事に、台湾は沖縄の様な戦禍に見舞われる事は無かった。 1945年 日本降伏と同時に、中国に返還された。
中国大陸では引続き毛沢東の共産党と蒋介石の国民党の内戦が続いていた。1949年大陸では遂に国民党が大敗し、蒋介石は国民党を率いて台湾に逃れた。『歴史は繰り返す』である。300年ほど前の 『鄭成功』の再現である。

その後しばらくは、国民党独裁の台湾統治が続いた。台湾出身の李登輝氏が国民党の総統になった時、1996年台湾総統を普通選挙で選ぶ民主的仕組みに大改革された。初代の公選総統は李登輝総統である。2000年の総統選挙では、民主進歩党の陳水扁氏が当選した。陳水扁総統が2期続いた後、2008年国民党の馬英九氏が総統に当選した。

台湾の話で不可欠の話題は、紫禁城の秘宝である。北京の紫禁城天安門と南方に広がる天安門広場は有名でよく知られている。紫禁城は中華人民共和国政府により維持管理され、観光客の入場見学ができる。流石に立派なものである。しかし清王朝が保有していた多数の秘宝は、紫禁城には殆ど残っていない。
1937年北京郊外「盧溝橋」事件をきっかけに大日本帝国が中国侵略を開始すると、中国人たちは紫禁城の多数の秘宝を、戦禍を避けるべく多数に分散して隠蔽した。その後大陸の内戦で敗退した国民党軍は、隠蔽していた多数の秘宝を引っ提げて台湾に転進した。
台湾に持ち込まれた多数の紫禁城の秘宝は、現在台北市の『故宮博物院』(クーコン・ポーウー・ユェン)に展示されており、誰でも見学できる。
以上

2012年2月24日金曜日

ホルムズ海峡

ペルシャ湾は、アラビア半島とイランとの間に横たわる長大な湾である。ペルシャ湾は、ホルムズ海峡を経由してインド洋のオマーン湾に通じている。ホルムズ海峡はイラン~オマーン間を隔てる幅30km程度の狭い海峡である。
イラン国旗・オマーン国旗を右に示す。

ペルシャ湾の湾岸諸国は、イラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・アラブ首長国連邦であり、何れも豊富な産油量を持つ国々である。従ってホルムズ海峡は、湾岸諸国からの原油を運ぶタンカー船団の唯一の通り道となっている要衝である。

米国は、イランの核技術開発に多大の懸念を抱いており、石油代金の決済を禁ずる「金融制裁」を加えるとともに、様々な恫喝を試みている。

米国は、米海軍第五艦隊原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を、2012/1/22急遽ホルムズ海峡を通過させ、ペルシャ湾内に配備した。
オバマ米大統領は、イランに核兵器開発の兆候有りと主張して、「イラン制裁に如何なる手段も排除せず」とイランに対し凄まじい恫喝を行っている。

イランは日本とは真逆で、米国には敢えて「NO」と言い張る根性の持ち主である。1980/9/22~1988/8/20のイラン~イラク戦争で、世界中を敵に回しながら戦い抜き、勝利を得たイランである。イスラム革命の波及を恐れ、世界中が反イランであった。
イラン~イラク戦争は、米国から多大の武器援助を受けていたイラクのサダム・フセイン大統領が仕掛けた戦争である。
オバマ米大統領の様々な恫喝も、イラン最高指導者アフマディネジャド大統領には、大した効果も期待できないと思われる。しかし今回だけは湾岸諸国や石油輸入国を巻き込む大問題であり、イランも極めて沈着冷静に穏便に対処しているようである。従ってホルムズ海峡が封鎖される様な事態は、起こらないと思う。

「経済制裁」は、その対象国との間に「戦争が起こるリスク」を伴う『危険極まりない』政治判断である。私は日本国が如何なる経済制裁に加担する事にも反対します。
イランの穏便な対処により、ホルムズ海峡封鎖は無いと思いますが、万一の場合の対策は考慮しておく必要があります。その場合原発の稼働にも期待しますが、備蓄石油の放出も必要です。石油の備蓄は独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」で行はれており、民間備蓄・国家備蓄合わせて半年分程度です。情勢を見ながら、この半年程度の間に、官民挙げて原油の新しい買い付け先探すことになるのでしょう。

『「イランは悪の枢軸」などと言う、米国の極めて得手勝手な世界観』は大間違いです。イランの言い分の方が、余程筋道が通っています。
イランは核不拡散条約(NPT)に加盟しており、国際原子力機関(IAEA)の監査を受けています。NPTを脱退し、IAEAを国外に叩き出した「北朝鮮」とは大違いです。
イランはウラン濃縮工場を建設し、現に濃縮ウランを製造していますが、原子力発電用燃料の製造用だと言っています。間違いなくロシア国営企業ロスアトムの協力を得て、イラン南部のブセールに原子力発電所を建設しております。

しかし「イランがいつまでも核兵器を持たない」という保証は全くありません。
イランの東隣国パキスタンは核兵器を持っており、西隣国イラクは国連査察団を何度も受け入れ、「大量破壊兵器」を持たない事を確認してから、『多国籍軍』という摩訶不思議な呼称の『枢軸国軍』に蹂躙され、未だに平和が訪れていません。この現実を見れば、「イランの核武装は将来有り得る」と考えるのが当然である。だからこそ米国は苛立っており、米国に対して敢えて「NO」と言うイランを不気味に感じているのである。

我々はホルムズ海峡情勢を気にしながら、危機意識を持って日本政府の動き方を注視し続けなければならない。東日本大震災の復興は勿論大切ですが、ホルムズ海峡の万一の封鎖の際は、迅速な行動が必要である。石油備蓄の半年間が勝負である。