2011年2月8日火曜日

旧友の論説

大学同期の新年会は誠に楽しいものであった。同郷の旧友が痛快な論説を展開してくれたので、ぜひ紹介しておきたい。読者に自信を持って日本の将来を考えてほしいし、彼の沸々とした愛国心を感じてほしい。
私の「異論な話」は「another theory」位に考えていたが、旧友の論説は「an unique opinion」であると彼が主張しているので、その「ユニーク・オピニオン」を出来るだけ忠実に下記に記載する。

              記

今、日本人に一番必要なのは「元気を出すこと・将来に対する希望を持つ事」であるにも拘わらず、政府、新聞・テレビは「中国・韓国は凄い、日本は駄目」の大合唱である。Web等の知識で反対の理由を捏ねてみる。

彼らの言う日本が駄目な理由と、拙論。

①円高
 「日本は輸出立国、円高は致命的」は嘘。
円高と共に日本は発展してきた。円高は産業・技術の高度化を促し日本を救う。日本の輸出の割合はGDP(国内総生産)の僅か15%であり、内需の方が大切。「日本製品は高級品」のイメージで行くべきだ。
中国・韓国と張り合うことによる技術力の低下、国内産業の空洞化の方が問題である。

(雲行注記:中国・韓国と価格で張り合う事はない。人件費単価の低減や政府補助金の援助でしのぐ考えは愚の骨頂。技術力の格差で競うべし。円高は技術力競争で勝利し獲得した金メダルである。)

②財政赤字
 「日本の借金は、国民総生産の2倍を超している。大変だ。」も嘘。
正しくは日本政府の借金である。日本政府は外国に借金している訳ではない。日本は、年間の貿易黒字(10兆円余り)より海外投資の利子収入(15兆円前後)の方が多い程、外国に金を貸している。

(雲行注記:我々国民の預貯金・投資信託が、銀行や信託会社等を通じて日本政府の債務を支え、更に貿易収支の1.5倍の金利収入を海外から得ている。日本国民が、いかに巨額な資産を保有しているかの証である。)

③少子化
 「若者の社会負担増大」が強調されている。遺産の貰い分も増えるのではないか。
日本の適正人口はせいぜい5千万人程度。長い目で見れば少子化大いに結構。

(雲行注記:日本の人口予測シミュレーション計算を行ってみた。予測計算では、2010年~2100年までの間に、年間百万人づつの略直線的人口減が続く。現状の「女性の年齢別出産率」では、日本の総人口が五千万人程度になるのは2090年頃である。



少子化問題での重要課題は、直線的な人口減少に見合った小さな政府・小さな議会に改変してゆく事である。
人口五千万人なら、農水省が何をしなくとも食料自給率の目標50%は自然にクリアーされる。)

④失われた20年
 「バブル以降20年日本だけ進歩なく取り残されている。日本は駄目だ」。
バブル以降20年間「寝ていても」世界第2位の座を維持したことになる。駄目どころかむしろ立派だ。

(雲行注記:「寝ていても」は、マスコミの自虐嗜好に対する皮肉。エコロジー・アニメ・IT・等々頑張った。その他の分野も頑張った。自動車、製鉄、鉄道技術、工作機械や原子力は優等生だ。)

⑤デフレ
 「日本だけがデフレ、大変だ」。
今後世界は持続可能な地球のため、高能率・低消費社会に向かわざるを得ない。日本は高能率低消費社会化の先頭を走っている事は間違いない。その結果のデフレだ。
「日本だけがデフレだ。素晴らしい。」と相成る。

(雲行注記:年金暮らしの我ら末期高齢者{公式呼称:高貴?後期?高齢者}にはデフレは誠に有難い。)

日本の行く末を懸念して屁理屈を捏ねてきたが、屁理屈が正当な理屈に思えてきた。今まで世界は「大量生産・大量消費国」を先進国と見てきたが、今後は「高能率・低消費」が先進国の指標とならねばならない(足るを知る人は富む)。日本は、駄目とは程遠い先進国だ。自信を持って今までの道を進めば良い。

(雲行注記:吾唯足知・吾未不冨・可々快笑)

数日前、理工系学生の参加した日本先進技術紹介番組で、素晴らしい日本の技術紹介をした後、結論的に、「世界各国は急速に進歩し先進国化している。日本は反対に先進衰退国だ。」と恐ろしい事を言っていた。学生の夢を壊すなと言いたい。
「君たちの先輩は立派な成果を上げてきた。諸君も先輩に習って、慌てず地道に努力すれば、世界のトップ維持は間違いなし。健闘を祈る。」位の事は言ってほしかった。

(雲行注記:その番組で、日本が「先進衰退国」だと言うのであれば、番組担当者に「日本の技術が峠を越えた」とする根拠を聞きたいものだ。)

また先週、駐日ドイツ大使が2時間ぐらいのTV番組で、日本の「失われた20年」について聞かれて、「日本のTV等がそういっているのでそうなんでしょう(皮肉?)。ただ20年ぶりに日本に帰ってきた私の目には日本は確実に豊かに成っています。」と答えていた。

日本での所謂「失われた20年」を肯定的に見る人が居ることは、拙論に自信を与えてくれる。

                               以上。

2010年12月3日金曜日

解決しない普天間問題

1995年沖縄駐留米兵による少女暴行事件を契機として、大規模な普天間基地返還要求運動が巻き起こった。これに即応し、当時の橋本龍太郎首相と駐日米大使との間で下記の様な「普天間基地返還」の合意ができた。
  • 5~7 年後までの全面返還を目指す。
  • 基地移転を実現するため、十分な代替施設を準備する。

これが今日まで全く実現していないのは、日本国政府が机上の検討に終始して15年間を空費してしまった結果に他ならない。

2004年8月沖縄国際大学構内に、米軍ヘリコプターが墜落する事件が起こり、地元の「普天間基地返還」要求は更なる高まりを見た。

2009年自民党政権に終止符が打たれ、民主党鳩山由紀夫内閣が誕生した。発足当初「普天間問題」は、「目標は国外、最低でも県外」移転を高らかに謳ったが、菅直人内閣に替わる直前に、「辺野古」移転案を決めてしまった。全く開いた口が塞がらない、恐れ入った政策の180度急転回であった。鳩山内閣で副首相・経済財政担当であった菅直人氏が、鳩山内閣の後を引き継いだのであるから、「辺野古」移転案はそのまま存続し続けることになる。

鳩山内閣発足当初は、宣言を実現すべく動いたように見受けられた。平野官房長官は、米海兵隊の訓練だけを「徳之島」でと、実現の希薄な話を持掛けたりしていた。米軍は海兵隊の主力をグァム島に引き上げる計画であり、主力の国外移転は労せずして実現しそうであった。しかし最大の問題は普天間に残す800名程度の残留海兵隊である。この勢力だけは、金輪際沖縄から移転するはずがない。その論拠は「異論な話」の2010・5月「抑止力」において詳細に説明している。公約が実現不能になった結果、苦し紛れに800名の海兵隊を「抑止力」と言わざるを得なくなったのであろう。

「辺野古」への基地建設は、地元の同意なしには実現不能である。現状では、地元の同意が得られる目途は全く立たないようで、「普天間問題」は未解決のまま残される。従って、情けない話であるが日本国政府の無為無策により、米海兵隊は今後も普天間に残留し続け、心置きなく猛訓練を続ける事ができる。このため基地周辺の住民は、危険と同居し轟音に耳を塞ぐ生活を強いられ続ける事になる。

以上

2010年7月27日火曜日

底抜けの氷床

 最後の氷河期であるヴュルム氷河期には、様々な地方が氷床・氷河で覆われていた。我が国では仙丈岳大カール(南アルプス)や宝剣岳の千畳敷大カール(中央アルプス)は、ヴュルム氷河期の痕跡として有名である。ヨーロッパアルプスは大氷床に覆われ、スカンジナビア半島・デンマーク半島も大氷床の下だった。
 ところがミランコビッチの氷河期サイクル(前編参照)により、地球温暖化が始まった。当時(数万年前)の人類は極めて謙虚な生活を行っており、温暖化防止・環境保護を唱えるNGO・NPOは全く存在せず、何のキャンペーンも行はれなかった筈である。従って驚くべき速さで温暖化が進展してしまった。約2万年前に、スカンジナビア半島・デンマーク半島・ヨーロッパアルプスから氷床が消失した。一面の白銀の大自然が、草木に覆われた緑の大地と化したのである。これを「無残な自然破壊」と嘆く人々は無論皆無であったろうと推察する。ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・バルト3国・等々の人達は、温暖化に足を向けて寝られない筈である。
 しかし近頃の人類ともなれば、「過れば民の嘆きなり、八大竜王 温暖化止めさせ賜え」と鶴岡八幡宮に嘆願しかねない情勢である。

 「閑話休題」。『ダンスガード・オシュガー イベント』(前編参照)は、「現在~25万年前の気温記録」であるが、「25万年以前の記録が残っていないのは何故か」が問題なのである。
 グリーンランドは、「25万年以前は氷床が無く、名前の通りグリーンランドであった。」と考えるのは、全くの早計である。



 グリーンランドの氷床は、厚さ3~4Kmである。氷の温度伝導度は金属の1桁下、大理石・花崗岩と同等である。従って氷床は分厚い布団と考えたほうが良い。表面温度は-30℃でも、底のほうは地熱で暖められて水となっている。(常温の地表を3~4Kmも掘れば、底は地熱で相当に熱く、温泉が噴出する場合もある。)


 要するに、氷床表面に雪が積もり、現在のO18/O16比のデータ記録が残されるが、その積もった分だけ氷床底部では、地熱による氷の融解で折角の古い記録が泡沫(うたかた)として消されてゆく。グリーンランドでの気温データの保管期限は25万年と決められていたのである。


 私の計算では、もしも氷床厚さが1Km以下であれば気温変動データが永久保管された筈である。しかるに誠に残念ではあるが、新しい気温データが次々に雪と共に降り積もって分厚い氷床(布団)となり、底が融け始めて、保管期限が自動的に定められるようになってしまった。



 「閑話複題」 ヴュルム氷河期の終焉に戻る。ミランコビッチ氷河期サイクルの「スカンジナビア・グリーン計画」は、太陽熱利用のトップダウン方式で強力に推進され、ほんの2万年程度の期間で実現された様である。


 地熱利用のボトムアップ方式に比べ、太陽熱利用のトップダウン方式の融解作業は2桁ほどエネルギーが大きく、厚さ数キロの氷床を2万年程度で雲消霧散させてしまった。



 右側の写真は、中央アルプス宝剣岳の千畳敷大カールである。 ヴュルム氷河期の氷河の痕跡と言われている。

2010年6月27日日曜日

地球温暖化

 地球温暖化を論ずる場合、最初に自分の立場を説明するのが良策と思う。

 現在の平均気温ベクトル(趨勢)が温暖化か寒冷化かの議論には関心が無い。また地球平均気温の「計算シミュレーション」にも、数百年未満の短期モデルにも全く興味が無い。加速度的増大を続ける人類による野放図なCO2発生は、今後抑制に向かわねばならない。エコ技術・自然エネルギー利用・原子力発電の推進等で、抑制は可能である。
 しかしながら、「大気中のCO2濃度の制御で、地球の気候を安定に固定できる」とする様な主張をされると、聴くに耐えない思いがする。自然を恐れぬ「傲慢不遜な考え方」だと思う。

 この様な立場で、地球温暖化を科学的に検討してみたい。


 世界最大の島グリーンランドは、デンマーク領である。実態は南部の沿岸を除けば、殆どは厚さ3~4千メートルの氷床に覆われている。この氷床を上から底までボーリングし、得られた氷柱を分析すれば、過去の地球の気温変動を知ることが出来る。このため、コペンハーゲン大学・日本・ヨーロッパ各国の共同で、氷床掘削プロジェクト(NGRIP)を結成し、島中央部で氷柱を採取し、詳細な分析がなされた。

ウィリー・ダンスガード博士(コペンハーゲン大学)やハンス・オシュガー博士(ベルン大学)等より「25万年前~現在の気温変動の推定」が発表され、「ダンスガード・オシュガー イベント」として有名である。





 横軸が時間。1目盛2万年、左から右に時間が経過し、右端が現在である。縦軸が気温変動。1目盛10℃、現在の気温を基準温度としている。

 これは氷中に含まれる微細気泡中の空気のO16とO18の同位体重量比の変動から導き出したものである(温度が高いほどO18が多い)。

これをみて私は驚愕した。

  1. 激烈な気温変動が極めて頻繁に起こっている。
  2. 5~8℃の気温急変は、過去に掃いて捨てる程沢山散在している。
  3. ここ1万年位は、極めて温暖で変動が少ない。過去に例がない。
  4. -1300年~ -1000年の間の気温上昇は特別激烈で、3℃/1000年 程度である。

 これらは謎であり、説明が付かない。しかし人類によるCO2発生に無関係な事だけは確かである。

 細かい変動は無視して、ゆったりした視点で眺めると、3~4万年周期(氷河期サイクル)の変動が読み取れて、若干安心した。

 地球上では氷河期と間氷期を繰り返す氷河期サイクルがある。どなたがどの様なモデルで温暖化の「計算シミュレーション」をするにせよ、過去の氷河期サイクルを計算で再現できなければ、計算モデルの正当性が疑われる。

 ここで温暖化議論の主役となるCO2の挙動を説明しておく。大気中のCO2と海水中のCO2は化学平衡関係にあり、大気中のCO2量の約2桁ほど大きい量のCO2が海水中に溶け込んでいる。海水中のCO2の1部は、海水中のCa,Mgイオンと結合し炭酸塩となって海底に沈殿除去される。Ca,Mgイオンは、岩石の風化作用により河川水に溶け込み、海水中に供給され続けている。この分だけCO2は確実に除去されているのだが、人類による大気中へのCO2放出量が多すぎて、大気中CO2濃度は漸増を続けている。産業革命以前で280ppm(容積率)程度、「石炭・石油の燃焼・森林伐採」等で20世紀末で360ppmである。80ppmの上昇である。地球の平均気温の上昇により、海水中から大気中にCO2が放出され大気中のCO2濃度が若干上昇するが、大略10ppm/℃程度の効果と見込まれる。産業革命以降平均気温が若干上昇しているとしても、80ppm増は全て人類の責任である。

 CO2は温室効果ガスである。ここで温暖化スパイラルの論理を組み立ててみる。

  1. 大気中のCO2濃度の漸増等で地球の平均気温が上昇する。
  2. 地表積雪面積(期間)が減少し、太陽輻射の吸収量が増大する。
  3. 太陽熱吸収量が増大するので、平均気温は更に上昇する。

 この様にして、温暖化シンドロームに突入する。

 寒冷化スパイラル論理は、下記である。

  1. 地球平均気温が下降し始めたとする。
  2. 地表積雪面積(期間)が拡大し、太陽輻射の吸収量が減少する。
  3. 太陽熱吸収量が減少するので、平均気温は更に下降する。

 これも簡単に、寒冷化シンドロームに突入する。

 問題は、シンドローム回避のために我々は”反転イベント”を創作する必要がある事だ。

 CO2論議だけでは問題解決の糸口は見つからない。金星の大気はCO2であるが、吾等の地球は「水の惑星」である。CO2濃度に比べ大気中の水蒸気濃度は桁違いに大きい。雲や霧が地表を覆い太陽光を反射し、熱吸収を減らすが、出現の時間・場所の変動が大きく全容把握が大変である。さらに水蒸気は、CO2以上に高性能な温室効果ガスである。従って温室効果の主役は水蒸気であり、それにCO2温室効果が若干加算されると考えるのが妥当である。

 これで主役・脇役が出揃った様である。ところがシナリオライターは、主役・脇役抜きで1920~1930年頃に”反転イベント”のシナリオを書上げていた。セルビアの地球学者ミルテン・ミランコビッチ(Milutin Milankovitch)である。地球公転軌道・自転軸傾きの振動・自転軸歳差運動 等から日照量の周期変化を求め、約2万・4万・10万年の3つの周期(ミランコビッチ・サイクル)があることを示していた。

 「ミランコビッチ」シナリオでは、主役・脇役は全く登場していない。しかし現在では脇役CO2の人気が非常に高いようである。「ミランコビッチ」シナリオに主役・脇役を登場させ、いかに上手く温室効果の役どころを演じさせるか、名演出家の出現を期待したい。

 今後の「氷河期サイクル」の科学的な公演を、寿命のある間に観てみたいと期待している。

以上

2010年5月21日金曜日

抑止力

普天間飛行場の返還を巡って、800名程度の米海兵隊が日本侵略に対する抑止力であるかのような議論が行われている。この様な議論を行う場合、米軍基地が何故沖縄にあるのか。米海兵隊はどんな任務を持った兵力であるかを、正しく理解しておく必要がある。

米軍が日本国に軍事基地を持つのは、「日米安全保障条約」第6条による。また別途の地位協定により、基地内は一種の治外法権が認められている。第5条では日本領土内での、日・米何れかへの武力攻撃に対し各自国の憲法上の規定・手続に従って、「共通の危険」に対処する事になっている。この条約こそが、日本侵略に対する抑止力の根源になっている。

驚くべきは、この抑止力の巨大さである。米第7艦隊(U.S.Seventh Fleet)は、太平洋艦隊の指揮下で、西太平洋・インド洋を担当海域とする世界最強の艦隊である。
旗艦は揚陸指揮艦ブルーリッジ(Blue Ridge)で,横須賀を母港としている。主力艦は、原子力空母ジョージ・ワシントン(George Washington)である。300機以上の航空機勢力を有している。更にミサイル巡洋艦2隻、ミサイル駆逐艦7隻および潜水艦隊が横須賀を母港にしている。

第7艦隊遠征打撃組(Expeditionary Strike Group)は、強襲揚陸艦エッセクス(Essex)に司令部を置き、揚陸艦デンバー(Denver)、トーチュガ(Tortuga)、ハーパーズ・フェリー(Harpers Ferry)と掃海艇2隻が長崎県佐世保を母港としている。沖縄県のホワイト・ビーチは第7艦隊の兵站支援港で、同艦隊第76機動部隊の第1水陸両用部隊の母港でもある。
第7艦隊の軍事基地は、この他韓国-釜山,浦項,鎮海にあり、シンガポールにも、兵站補給基地を持っている。

米第7艦隊は艦隊の戦略目的達成のために、極東地域に強力な多数の軍事基地を必用としている。それ故、第7艦隊には日米安保条約が不可欠であり、この条約の締結によって、日本国領内に第7艦隊の多数の強力な軍事基地群を獲得出来た。

沖縄にある米軍基地は、第7艦隊の基地だけではない。
  1. ホワイト・ビーチ   第7艦隊:兵站支援港
  2. 普天間飛行場    海兵隊:ヘリ約70機
  3. 北部訓練場 海兵隊管理下:砲撃訓練
  4. 嘉手納飛行場   空軍:約100機常駐
普天間飛行場は、第3海兵遠征軍36海兵航空軍が使用している。海兵隊は艦隊とは別の指揮系統で、太平洋海兵隊に所属する。北部演習場は、海兵隊の砲撃訓練に使用している。嘉手納飛行場は、第5空軍第18航空団管理の極東最大の空軍基地である。

普天間基地移転問題で、巷は随分騒がしい。普天間基地は、海兵800名(支援要員を含め千数百人)が常駐する軍事基地である。海兵隊の戦略目標は、有事の際直ちに「外国の戦略目標拠点」を占拠確保することである。60日以内に戦略目的が達成できれば、米議会の議決・承認は必要としない。このため海兵隊は、駐屯地の基地で常時訓練を実施しており、有事の際は直ちに行動を開始する。米軍が普天間の代わりに辺野古のキャンプシュワブに代替え飛行場を要求するのは当然である。

「訓練だけを鹿児島県徳之島で」という日本の役人の小賢しい話は、米軍は聞く耳を持たないのである。徳之島を持出すなら、徳之島を海兵隊の駐屯地にするしかない。専用飛行場・兵站補給港・射撃訓練場を保障し、基地移転費用一切を負担する覚悟が必要である。

民主党のマニフェストで、普天間基地の移転は「国外・最低でも県外」と言った。社民党福島党首も同様の主張を繰り返している。この主張が実現できそうな案は2つ位しかない。
  1. 米海兵隊駐屯地を徳之島にする。
  2. 米海兵隊駐屯地を長崎県大村市の海上自衛隊基地にする。自衛隊基地をキャンプシュワブに移設する。
普天間の海兵隊は、長崎県佐世保を母港とする第7艦隊の遠征打撃組(Expeditionary Strike Group)との共同作戦が最大戦略目標である。有事の際「佐世保-沖縄」のラインで即応する必用があり、強襲揚陸艦群と海兵隊ヘリコプター群が「戦略目標地」に殺到する。勿論第7艦隊の戦闘機群が目標地の制空権を掌握するであろう。要するに南洋群島の基地からでは、緊急時の初動作戦に間に合わぬのである。此処で言う目標地は当然日本領土ではない。海兵隊は、「防衛」ではなく、拠点の「先制攻撃」を目的とした部隊である。



普天間の第3海兵遠征軍は、有事の際、第7艦隊遠征打撃組との共同作戦で、外国の目標地を一時的に制圧・占拠し、米国人を安全に避難させる目的の部隊である。この部隊の国外移転を日本側が要求しても、米軍は鼻先でせせら笑うだけである。


平野官房長官は、「訓練を徳之島で」と言っている。これでは米軍は納得しない。「徳之島に基地移転」でなければ米軍の納得は得られない。一方住民側の猛反発は当然の成り行きとなる。後は地道な誠意で、住民の納得を得る努力が必要で、平野官房長官の力量が問われる。



海上自衛隊大村基地と沖縄米海兵隊キャンプシュワブ基地の交換は、収まりの良さそうな案である。大村基地は、大村第22航空群司令部が置かれ艦載ヘリコプターを中核とするヘリ基地である。海上にある長崎空港の対岸で、長崎空港連絡橋箕島橋の入り口付近から、北方に向かって滑走路がある。長崎空港A滑走路と呼称され、長崎空港の一部として国土交通省の管轄下である。航空管制も国土交通省が行っている。

海上自衛隊と米海兵隊との基地交換を成立させるには、軍民共用の長崎空港の航空管制権の再吟味や、大村市の騒音問題の再検討などの問題解決が残される。これは以外に難航する課題かもしれない。

纏めて言えば、日本領土侵略に対する抑止力の根源は、「日米安保条約」である。この条約により、米国は日本領土内に多数の軍事基地を獲得し、沖縄普天間に第3海兵遠征軍約800名の海兵隊を駐屯させた。

米海兵隊の戦略目的は、有事の時に佐世保の強襲揚陸艦群と呼応して、外国の目標地点に殺到し、目標地を一時的に占拠することである。目標地経由で米国人の避難・脱出が完了すれば、目的達成であり、米軍も撤収する。行動開始から60日以内に事が完了すれば、米軍の行動は米国議会の議決に拘束されない。

普天間駐屯の第3海兵遠征軍下の海兵隊は、「遠征」が目的であり「防衛」ではない。普天間の海兵隊は、およそ抑止力などと呼ばれる筋合いの代物ではないだろう。

以上

2010年4月29日木曜日

文殊の知恵

 「三人寄れば文殊の知恵」と言われる。どんな三人組でどんな知恵になるのか、考えてみるのも楽しい。ここで言う文殊とは、知恵の仏・文殊菩薩のことである。釈迦如来と両脇に立つ普賢菩薩・文殊菩薩を合わせ、釈迦三尊と言われる。




 「ふげん・もんじゅ」とひらがなで書けば、原子力発電所の名前である。右の写真は福井県敦賀市にある「高速増殖原型炉もんじゅ」の写真である。(独立行政法人日本原子力研究開発機構:Japan Atomic Energy Agency から引用)

 「ふげん」も敦賀市に建設されており、2003/3/29 運転終了し、廃炉の手続・作業が行われている。

 新聞によれば、2010/4/26 西川一誠福井県知事が川端達夫文科相・直嶋正行経産相と「もんじゅ運転再開」について協議した。三人掛りの文殊の知恵で「エネルギー研究開発拠点化計画支援」・「交付金の拡充」・「北陸新幹線福井延伸」などの県知事要望と引換えに、もんじゅ運転再開について「遅滞無く前向きに判断したい」と知事の意向表明がなされた。もんじゅが人質にされていた感も有るが、これでやっと「もんじゅの知恵」が働き始める事になった。

 もんじゅの正式名称にある「高速増殖原型炉」は、専門用語で解説が必要である。この炉の核燃料はプルトニウムである。高速中性子による核反応で、原子炉内に置かれている核分裂しない「ウラン238」を核分裂し易いプルトニウムに変換させる目的の原子炉なのである。しかも驚くことに、運転で消費する燃料プルトニウム量以上のプルトニウムを「ウラン238」から作ることが出来る。運転すればする程燃料保有量が増加する「打出の小槌」なのである。俗称「夢の原子炉」と言われる。しかしこれは「両刃の剣」である。プルトニウムがあれば、原子爆弾は簡単に作れる。
 高速中性子の核反応で、プルトニウムの増殖を行う原子炉を「高速増殖炉」と呼称する。また実用試験の目的で建設する原子炉を「原型炉」と呼称する。もんじゅは発電しながらプルトニウム増殖を行うことを実証する目的で建設された。

 もんじゅの通常運転までの道程は長く、遅々として進まなかった。1968/9 予備設計開始以来、2010/5 の運転再開予定までに実に42年を費やした。「夢の原子炉」実用化までに今後どれだけの長い年月を必要とするのか、老いた私にはもどかしい限りである。

 「夢の原子炉」の夢は「技術者の」夢であって、必ずしも日本国の夢とは限らない。悪夢と思い込む人も居るかも知れない。エネルギー資源を輸入に頼る日本国にとって、「夢の原子炉」の実現は国益上の最重要課題の一つである。ところが一方、国連安保理・常任理事国(米・英・仏・露・中)が、これを歓迎してくれるとは、到底考えることが出来ない。この5ヶ国は核拡散防止に躍起になっており、国連の敵国条項適用国である日・独の核開発には、極めて敏感に抑圧的に反応する。

 5ヶ国以外の核兵器保有を禁止するために、NPT条約(Nuclear Non-Proliferation Treaty:核兵器不拡散条約)を定め、各国の核技術開発はIAEA(International Atomic Energy Agency:国際原子力機関)の監視下においている。
 NPT条約は常任理事国が強制した不平等条約であるが、常任理事国側に核兵器削減の努力義務を課している。

 もんじゅの知恵の行き着く先は、「夢の原子炉」の夢を実現することである。オバマ大統領は「2020年頃には火星に人を送る」と言っている。そんなことはどうでもいい。日本国の首相は国家百年の大計のため、腹を据えて「夢の原子炉」の夢実現を推し進めて欲しい。枝野行政改革担当大臣・蓮舫議員は、罷り間違ってももんじゅを業務仕分の対象にしてもらっては困る。
 もんじゅの知恵が進み、日本のプルトニウム保有量が増大すると、常任理事国の日本に対する風当たりが強くなり、彼等の嫌悪感は極限近くに迫るだろう。しかしこの事を日本国が恐れて、萎縮してはいけない。この事こそが、日本国の強力な外交カードであり、NPT条約に基づいて常任理事国側に「核兵器削減」を迫る、最大の切り札になり得るからである。

 「もんじゅの知恵」は、勇気と根気が備わってこそ実現できる。鳩山首相・川端文科相・直嶋経産相、腹を据えて「もんじゅの知恵」を生かして欲しい。


以上

 












2010年3月3日水曜日

一票の価値

2009/8/30に行われた衆議院議員・小選挙区(大阪大9区)選挙の「選挙無効請求事件」に関する「大阪高裁の判決文(平成21年12月28日)」を読んでみた。
被告は「大阪府選挙管理委員会」である。判決の要約は下記である。

  1. 原告請求の棄却。(選挙は無効とはしない。)
  2. ただし、選挙は違法である。
  3. 訴訟費用は、被告の負担とする。争点は、「一票の価値」である。議員一人当たりの有権者数の

地域格差が問題点である。高知第3区を 1 とした場合、大阪第9区は 2.063 倍、千葉第4区は 2.203 倍である。憲法では人権の平等を謳っており、「主権者たる国民全員が国政に対し、同じ影響力を持つことこそが憲法の定める国民主権の内容(判決文の引用)」である。

私は理系出身であり、法文解釈の論理説明等は全く肌に合わないと思い込んでいる。しかし今回の裁判の判決については、私は極めて奇異な感じを抱いている。

① 被告が「選挙管理委員会」である

被告は、正しく選挙を実施し大阪府第9区の当選者を決定した。選挙の実施について違法性は無い。憲法は、両議院の「選挙制度の仕組み」を国会の裁量に委ねており、被告には「選挙制度の仕組み」についての裁量権は全く存在しない。被告は「裁量権の無い被告に対する請求事案は、相当ではない」と強く主張すべきであった。

② 何故大阪府第9区だけが違憲であるのか。

この裁判は大阪府第9区に関するものである。千葉第4区も勿論違憲だろう。高知第3区も違憲ではないのか。ただし、訴えの無い所に判断なしである。

③ 2009/8/30 の小選挙区選挙全体が、違憲である。

各選挙区個々に観れば、おのおの正しい選挙がなされ正しく議員が選出された。個々の選挙区に限定すれば、違憲の判断の生じる余地は全く存在しない。違憲の判断の因って来る原因は、選挙全体を見渡した場合に限って、他との比較の上で「一票の価値」に大きな地域格差が生じているのである。したがって、「小選挙区選挙全体」とらえて違憲と言うほかないはずである。何故「大阪府選挙委員会」がこの責任を負って、原告の訴訟費用を負担しなければならないのか。

④ 違憲の当事者は誰か。

第一の当事者は、国会である。「選挙制度の仕組み」を決めるのは国会の裁量による。裁量の権利・義務は国会が負わなくてはならない。

第二の当事者は、内閣である。違憲にならない「選挙制度の仕組み」を提案しなかった。更に麻生内閣は、違憲状態のまま衆議院を解散して問題の選挙を行った。

⑤ 国会を相手に提訴できるか。

「選挙制度の仕組み」は国会の裁量権として、国会を相手に「選挙無効請求事件」の提訴が出来るか。出来るわけがない。! では如何しよう。???

これができれば、誰でも何処に住んでいても、提訴できるのですがね。

⑥ またもや、「事情判決」である。

「違憲であっても、選挙無効とはしない」との「事情判決」は、過去にも行われている。

判決文の「当裁判所の判断」は6頁~28頁に渡って詳細に記載されている。ところが「事情判決」の論拠は、最後のページに気休め程度に極めてあっさりと記載されている。「本件選挙は違法であるが、これを無効とした場合、公の利益に著しい障害が生じることは明らかであり、原告の受ける損害等を考慮してもなお、公共の福祉に適合しないと認められる」とバッサリと切り捨てているだけである。

言語道断である。裁判所判断の半分は(10頁程度か)、「事情判決」を行う論拠について詳細に説明してもらいたい。1. どの様な公の利益に、2. どの様な著しい障害が生じるか説明し、3. 「事情判決」による原告の損害(国民全員の損害)をどの様に認識しているかを、詳しく説明してほしい。

⑦ 法体系の矛盾

「事情判決」は、既成事実の遣り得を認める判決である。

ある意味では、裁判官が自ら法の尊厳を踏みにじる行為を行うことに相当する。相応の尤もらしい論拠が幾つか存在しなければ、決して行うべきでは有るまい。法の尊厳を守るためには、諸葛亮の如く、泣いて馬謖を切らなくてはなるまい。

しかし選挙の無効を宣言し、再選挙をやらせても、違法が解消されるはずが無い。これは絶対的な矛盾である。

⑧ 矛盾の解法

大阪高裁は、被告(大阪府選挙管理委員会)に対し「大阪府第9区における選挙は違法である。」といささか見当違いの判断を示した。

さすれば原告の主張「選挙無効請求」を認め、「大阪府第9区の当選」を無効とすべきであった。これで首尾は一貫する。議員が一人足りなくても、日本国に大した問題が出る訳でもあるまい。

「大阪府第9区」は議員を出さないと、一票の価値が 0 となり憲法違反になる。よって被告は再選挙を始める。再選挙を行えば又々憲法違反になるので、原告は「選挙差し止め請求」を行えばよろしい。裁判の堂々巡りになるが、訴訟費用は多分ほとんど被告負担になるであろう。

とにかく巷を大いに騒がせ、大衆の耳目を集めなくてはならない。政治問題化すれば、政治的に決着せざるを得なくなるであろう。法務大臣、見識を持って頑張って下さい。

以上