「ふげん・もんじゅ」とひらがなで書けば、原子力発電所の名前である。右の写真は福井県敦賀市にある「高速増殖原型炉もんじゅ」の写真である。(独立行政法人日本原子力研究開発機構:Japan Atomic Energy Agency から引用)
「ふげん」も敦賀市に建設されており、2003/3/29 運転終了し、廃炉の手続・作業が行われている。
新聞によれば、2010/4/26 西川一誠福井県知事が川端達夫文科相・直嶋正行経産相と「もんじゅ運転再開」について協議した。三人掛りの文殊の知恵で「エネルギー研究開発拠点化計画支援」・「交付金の拡充」・「北陸新幹線福井延伸」などの県知事要望と引換えに、もんじゅ運転再開について「遅滞無く前向きに判断したい」と知事の意向表明がなされた。もんじゅが人質にされていた感も有るが、これでやっと「もんじゅの知恵」が働き始める事になった。
もんじゅの正式名称にある「高速増殖原型炉」は、専門用語で解説が必要である。この炉の核燃料はプルトニウムである。高速中性子による核反応で、原子炉内に置かれている核分裂しない「ウラン238」を核分裂し易いプルトニウムに変換させる目的の原子炉なのである。しかも驚くことに、運転で消費する燃料プルトニウム量以上のプルトニウムを「ウラン238」から作ることが出来る。運転すればする程燃料保有量が増加する「打出の小槌」なのである。俗称「夢の原子炉」と言われる。しかしこれは「両刃の剣」である。プルトニウムがあれば、原子爆弾は簡単に作れる。
高速中性子の核反応で、プルトニウムの増殖を行う原子炉を「高速増殖炉」と呼称する。また実用試験の目的で建設する原子炉を「原型炉」と呼称する。もんじゅは発電しながらプルトニウム増殖を行うことを実証する目的で建設された。
もんじゅの通常運転までの道程は長く、遅々として進まなかった。1968/9 予備設計開始以来、2010/5 の運転再開予定までに実に42年を費やした。「夢の原子炉」実用化までに今後どれだけの長い年月を必要とするのか、老いた私にはもどかしい限りである。
「夢の原子炉」の夢は「技術者の」夢であって、必ずしも日本国の夢とは限らない。悪夢と思い込む人も居るかも知れない。エネルギー資源を輸入に頼る日本国にとって、「夢の原子炉」の実現は国益上の最重要課題の一つである。ところが一方、国連安保理・常任理事国(米・英・仏・露・中)が、これを歓迎してくれるとは、到底考えることが出来ない。この5ヶ国は核拡散防止に躍起になっており、国連の敵国条項適用国である日・独の核開発には、極めて敏感に抑圧的に反応する。
5ヶ国以外の核兵器保有を禁止するために、NPT条約(Nuclear Non-Proliferation Treaty:核兵器不拡散条約)を定め、各国の核技術開発はIAEA(International Atomic Energy Agency:国際原子力機関)の監視下においている。
NPT条約は常任理事国が強制した不平等条約であるが、常任理事国側に核兵器削減の努力義務を課している。
もんじゅの知恵の行き着く先は、「夢の原子炉」の夢を実現することである。オバマ大統領は「2020年頃には火星に人を送る」と言っている。そんなことはどうでもいい。日本国の首相は国家百年の大計のため、腹を据えて「夢の原子炉」の夢実現を推し進めて欲しい。枝野行政改革担当大臣・蓮舫議員は、罷り間違ってももんじゅを業務仕分の対象にしてもらっては困る。
もんじゅの知恵が進み、日本のプルトニウム保有量が増大すると、常任理事国の日本に対する風当たりが強くなり、彼等の嫌悪感は極限近くに迫るだろう。しかしこの事を日本国が恐れて、萎縮してはいけない。この事こそが、日本国の強力な外交カードであり、NPT条約に基づいて常任理事国側に「核兵器削減」を迫る、最大の切り札になり得るからである。
「もんじゅの知恵」は、勇気と根気が備わってこそ実現できる。鳩山首相・川端文科相・直嶋経産相、腹を据えて「もんじゅの知恵」を生かして欲しい。
以上
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