2018年9月29日土曜日

異論な話 第79話 広島高裁 伊方3号機判決

広島市の住民が提訴した、「四国電力・伊方3号機 原子力発電所の運転停止仮処分」は、2017年12月13日 即日抗告審で、広島高裁は『2018年9月30日まで運転停止の仮処分』を行った。裁判長は、定年間際の野々上友之裁判長であった。

予想通りに、四国電力から異議申し立てがあり、『仮処分』に対す「異議審」で 広島高裁(三木昌之裁判長)は 2018年9月25日『仮処分』の取り消しを行った。

この勝訴により四国電力は、伊方原子力発電所3号機(電気出力:89万kw)を 本年10月末頃に稼働させる模様である。


この一連の裁判で問題となっていたのは、驚く事に『阿蘇山の噴火のリスクなのである。
阿蘇山(熊本県) ⇒ 伊方原子力発電所 は、130km 程度である。
確かに阿蘇山は、9万年ほど前に『破局的大噴火』を行っている。噴出した火砕流は、九州中央部を覆い尽したと想定されている。

しかしこの「9万年前の話」は、現状では全くナンセンスな話だと思われます。阿蘇山の『破局的大噴火』に対して、日本政府も熊本県も何の対策も考えていません
近々に起こる確率は、殆どゼロに近い事柄ですから無理もありません。
それなのに何故、一連の裁判だけでは『破局的大噴火』で大騒ぎしなければならないのか、私にとっては 全くもって不可解な話です。

我々日本国民は、発生確率が殆ど ゼロに近い 極めて僅少なリスクに対しては、いちいち気にしては暮らしていません。
この一連の裁判は、何だか「話のすり替え」が行われたような、気がしてなりません。

本来住民が『伊方3号機の運転停止』を裁判で争うのであるならば,伊方3号機原発の「ハード・ソフトの問題点」・「管理体制や運用機構の問題点」などで争うのが本筋であると思われます。
しかし本筋で争うためには、提訴者の知識・技量が生半可では 四国電力に到底太刀打ちできる筈がありません。

提訴した広島市の住人の中には、かなりの智恵者がいた と考えるのが、順当であると思えます。
殆どゼロに近い阿蘇山の噴火のリスク』だけで、これだけの裁判を持ちこたえることが出来たのですから 凄いものです。

広島市の住人が、最高裁に提訴しなかったのは、『極めて賢明な選択』でした。
『最終決着させなかった』事に、大きな意義があると思います。
以上


2018年9月22日土曜日

第78話 中華人民共和国の政治機構

左図は、中国の白地図である。中国の首都は、北京である。

日本の沖縄の先にある『台湾は、現在『中華民国』が統治している。
現在の台湾の『総統』は、第14代 蔡英文総統(女性)である。

白地図の最南端の島・海南島を含めて、『中華人民共和国』の領土である。
領土面積は、ロシア・カナダ に次いで 世界第3位である。
人口は、13.8億人(2016年) で世界第1位である。

尖閣諸島は、日本国領土 (沖縄県石垣市)であり、日本政府が統治する無人島である。
1969・1970年の国連の海洋調査で、東シナ海に大量の石油資源の埋蔵が推定された。
すると全く突然に、「中華人民共和国」と「台湾当局」が 『尖閣諸島の領有を強引に主張し始めた。
『尖閣諸島』魚釣島から、中国大陸330km。『尖閣諸島』魚釣島から、台湾170km。
『尖閣諸島』魚釣島から、石垣島170km。

中国共産党による『中華人民共和国』の建国は、1949年10月1日とされている。
中国共産党員は、8,800万人程度おり 党員は政府を支配し続けている。

『中華人民共和国』の政治は、1院制である。議員数 2,980人。
最高議決機関は、『全国人民代表大会』略称:『全人代』である。
議員は、省・自治区・直轄市・特別行政区や 軍 から選出された代表で構成され、一般国民は 選挙には拘れない。
議員任期は、5年である。『全人代』は、毎年1回3月頃に行われる。

香港・マカオ については、1国2制度とし 自治権を認めている。
香港は1997年、英国から中国に返還されている。
マカオは1999年、ポルトガルから返還された。

中国国民には、結党の自由はない。
また日本の様な、三権分立も存在しない。
立法機関は『全人代』である。
行政機関は「国務院」があり、司法機関として「最高人民法院」と「最高人民検察院」がある。

実際に国の政治を動かすのは、中国共産党であり 『中央政治局常務委員会』が権力を掌握している。
中国共産党の最高指導者は、『中国共産党中央委員会総書記』である。
『政治局常務委員』の中から選出される。

第19期『政治局常務委員
 習近平:共産党総書記・軍事委員会主席
 李克強:国務院総理
 栗戦書(りつせんしょ):第10代『全人代』常務委員長
 汪洋:前国務院副総理
 王滬寧(おうこねい):復旦大学教授
 韓正(かんせい):国務院常務副総理

2018年3月11日『全人代』は、『中華人民共和国憲法』を 賛成2958票・反対2票で改正し、国家主席と国家副主席の「任期制限」を撤廃した。
従来の任期は、「2期10年」であった。

2018年3月17日、習近平は国家主席に 王岐山は副主席に選任された。
このため、習近平は事実上の『中国皇帝』に成り上がった。
中国皇帝』の任期に制限はない。
習近平中国皇帝』は、今後心おきなく『一帯一路』の経済圏構想なんぞに 精力を注ぎ込み、血道を上げることが出来る事となっている。

以上









2018年9月7日金曜日

第77話 未だに解決しない 『普天間 問題』

沖縄駐留 米兵 の 『少女 拉致暴行事件:1995年』を契機として、日本国内では大規模な 普天間基地返還要求運動 が巻き起こった。
これに即応し、当時の 橋本竜太郎首相 と モンデール 駐日米大使 との間で下記のような、普天間基地返還 が合意された。

  • 5~7 年後までの全面返還を目指す。
  • 基地移設を実施するため、十分な代替施設を準備する。

左図が『普天間基地』の全景である。
市街地に取り囲まれた、危険極まりない基地である。
全景写真を見れば、一目瞭然である。

『基地移転』が全く実現していないのは、日本国政府・官僚 たちの 甚だしい怠慢の結果 である。


この他にも、故 翁長雄志(1950―2018年8月8日)沖縄県知事が、『基地反対運動』の象徴的テーマとして、『辺野古埋め立て・移転』に 強硬かつ執拗 に反対運動を続けていた。
翁長知事自身が、肝心・かなめ の『普天間基地返還を どのように考えていたかは、今となっては 定かではない。

普天間基地の施設管理権が、『米国 海兵隊』に移管されたのは 1960年5月である。
1995年、米国 海兵隊員ら による少女拉致誘拐暴行事件が発生した。被害者は、街に買い物に来ていた小学6年生の児童である。

2004年8月,沖縄国際大学構内に 米軍ヘリコプターが墜落する事故が起こり、地元の「普天間基地返還」要求は さらに一層の高まりを見た。

第45回衆議院議員総選挙(2009年)において、民主党が圧勝した。
このため、自民・公明連立の麻生内閣に替わり、「民主党 鳩山由紀夫内閣」が誕生した。

圧倒的な勝利で、気分高揚していた鳩山首相は「在沖米軍基地について、内閣発足当初は 『目標は国外最低でも県外』移転を高らかに謳った。
気概は大いに評価できるが、そんなに上手くは行かないだろうと、誰しも「眉唾:まゆつば」の思いであった。

案の定、菅直人内閣に替わる直前に、普天間の代替地として『辺野古』移転案を決めてしまった。
全く恐れ入った『政策の 180度の 急転換』であった。
鳩山内閣で 副首相・経済財政政策担当 であった 菅直人氏が、その後を「菅内閣」として引き継いだのであるから、『辺野古』移転案は そのままっ存続することになっている。

確かに 鳩山内閣発足当初は、最初の宣言を実現すべく動いたようである。
米軍は海兵隊の主力を グァム島に引き揚げる計画であり、主力の国外移転は労せずして実現しそうであった。
しかし最大の問題は『普天間に残す 800名程度残留海兵隊』である。
此の勢力だけは、金輪際 沖縄から移転する筈がない。
その論拠は、私のブログ『異論な話』の 「ブログアーカイブ:2010/5/21「抑止力」において詳細に説明している。
(又は、幣著『異論な話』54―58頁:「抑止力」参照)

多分 鳩山首相の最初の公約が実現不能となり、『辺野古』移転案を正当化する苦し紛れの言い逃れの方便として、800名程の米国海兵隊を「抑止力」と言って仕舞たのだろうと 私は推察している。
米国海兵隊は、決して抑止力」などと呼ばれるような「代物:しろもの」ではないことは明らかである。

辺野古への基地移転は、地元の同意なしには実現不可能である。
現状では、地元の同意が得られる目途はたっていない様である。
未だ『普天間 問題』は未解決のまま残されている。
従って 残念な話であるが、日本国政府の怠慢によって 米国海兵隊は今後も普天間に残留を続け、心置き無く猛訓練を続けることが出来る。
このため基地周辺の住民は、現在も引き続き危険と同居し 耳をつんざく轟音に苛まれる生活を余儀なくさせられている。

ここで 『普天間 問題 』に関する、日本国政府の『重要な懸案事項』を要約整理する。

①『普天間』⇒ 『辺野古』への基地移転を、速やかに実現する。
②日米地位協定(1960年6月発効)の『全面的 改訂』。極めて不平等な協定である。

以上