2014年12月19日金曜日

最高裁判事の信任投票

衆議院総選挙の度毎に、「最高裁判事の信任投票」(国民審査)が行われる。最高裁判事は、裁判所の推挙に基づき、内閣が最高裁判事を任命する。信任投票の対象となる裁判官は下記である。
  • 任命後初めての衆議院選となる最高裁判事
  • 衆議院選後10年を経過した最高裁判事(最高裁判事は高齢で任命されるのでこれは無意味)
この信任投票制度は、「アメリカ合衆国ミズーリ州の憲法」を参考にして作られた制度と言われている。アメリカの各州には「州憲法」・「州最高裁」があり、それぞれ独自の司法システムを持っている。アメリカ合衆国全体の最高裁は、信任投票制度を持っていない。

日本の最高裁判事の信任投票については、『最高裁昭和27年2月20日(1952年)大法廷判決』(3頁)において、最高裁は最高裁に都合のいい判決を行っている。要点を下に示す。

  • 信任投票は罷免の可否を判断する。
  • 信任投票は任命の可否を判断するものではない
  • 白票は、「罷免する積極的意思なし」とする。
  • 信任投票は、「罷免する積極的意思」の有無で決する。
  • × 印以外の記号を書けば無効票となる。
  • 審査公報では、事件名のみの記載で可。(個々の判事意見は不記載でよい)


2014年12月14日衆議院総選挙と共に「最高裁判事の信任投票」が行われた。信任投票結果を、下記に示す。

        鬼丸かおる  木内道祥   池上政幸   山本庸幸   山崎敏充
× 印              4,678,087     4,861,993      4,855,670     4,280,353     4,786,184
無記入       46,138,768   45,954,803    45,961,112   46,536,351    46,030,604
無効票                   720               779                793               871                787
投票総数   50,817,575
× 率(%)       9.206             9.568            9.555             8.423            9.418

無効票は、熊本県・福島県特異的に多発している。
投票率とうは下記である。
  • 有権者数         103,858,444(約1億人)
  • 投票数               52,859,837
  • 棄権者数           50,998,584
  • 投票率               0.5090
  • × 総数               23,462,287
  • × /票                  0.462


興味深いのは、1票当たりの× の数 である。0.462 だから、過半数が白票を投じたらしい。「過半数が棄権」したと考えるべきである。

一般的には名前の記載番号が若いほど、× を受けやすいと思われる。しかし鬼丸・山本の両氏は、特異的に× 率」が低い。意図的に × 印を付けなかった人が多数いたことになる。
即ち、『鬼丸・山本』両氏を積極的に信任した人たちが多数いた事が証明される。

鬼丸かおる・山本庸の両氏は、『現状の1票の格差』を違憲と見做した裁判官である。

この人たちを信任しているが、信任投票で〇を付ける事が出来ないので「他の人に × 」を付けて意思表示をしたのである。はなはだ回りくどく、分かりにくい仕組みにされている。

信任投票であるから、素直に「信任する人に〇印を記入するシステム」に直せば、単純明快な良い制度になるのである。
しかし日本国は『最高裁判事信任投票』を現状の劣悪な制度設計のまま長年にわたり放置し、「国民審査」と呼称して不信任者に× を与える『不信任投票』方式を堅持し続けているのである。誠に残念である。慨嘆久し。
以上

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