2014年11月4日火曜日

トランプと麻雀と百人一首

囲碁や将棋は、19×19や10×10の罫線を引いたそれぞれ専用の盤を使用するゲームである。従って『ボードゲーム』の分類に入れられる。チェス(西洋将棋)や双六(すごろく)もボードゲームである。
トランプや麻雀は、専用の盤は不要である。「専用の盤」なしで行われるゲームを『テーブルゲーム』という。
日本のテーブルゲームの筆頭は、トランプと麻雀であろう。トランプと言うのは日本固有の言い方であり、英語では「プレイング・カード」と言われる。英語で「トランプ」と言うのは、切り札の事である。

現在のトランプは、「クラブ」・「ダイヤ」・「ハート」・「スペード」の4つの「スーツ」があり、各スーツの札の数は13枚である。合計で52枚になる。一般的には、この他に「ジョーカー」2枚ほどが入れられているのが1セットである。
この形式のトランプがほぼ出来上がったのは、15世紀後半のフランスであると言われている。これがイギリスにわたり16世紀には現在のトランプの様式が完成されていた。

トランプゲームは多種多様にあるが、最も知的でユニークなゲームは『コントラクトブリッジ:略称ブリッジ』であると思う。4人で行うゲームであるが、向かい合った2人が1つのチームである。1つのテーブルで2つのチームが対戦する。米国や英国の家庭に招待された場合は、来客チーム vs ホスト夫婦の対戦が行われる。
「どのスーツを切り札にし、カードを何枚獲得するか」をセリ落とし、セリの結果を実現してみせるゲームである。日本には「日本コントラクトブリッジ連盟」があり、競技会等が行われている。
現在行われているような形式のブリッジが完成したのは、20世紀半ば頃であり、極めて新しいゲームである。
セリのシステムやセリ上げ方に色々なシステムやコンベンションが使われており、生半可な知識では、ゲームに参加できない。
もう50年も昔になりますが、私が外来研究員として原研(原子力研究所)の独身寮に居た頃、夕食の後はいつも原研の方々と「ブリッジ」を楽しんでいたのを思い出します。ビッドシステムはゴーレンだったと思います。

「ブリッジ」では、全部のカードを獲得することを『グランドスラム』と言います。ゴルフやテニスのグランドスラムは4大・大会を制覇することですが、ブリッジの『グランドスラム』は4種類のスーツの全部の札を獲得することです。ゴルフやテニスはブリッジからの連想で、『グランドスラム』と言うようになったものとだと推量します。

麻雀は19世紀末頃に現在使用されているような形式のものが出来上がったようである。麻雀の盛んな国は、中国・台湾・日本・米国である。
日本の麻雀は、萬子(マンズ)・索子(ソウズ)・筒子(ピンズ)の9×4×3=108枚の牌と白・発・中の3元牌12枚と東・西・南・北16枚と合計136枚の牌を使用している。
これをテーブルの中央で掻き混ぜて並びなおす動作を洗牌という。これを全自動で行う麻雀卓がある。業務用として数十万円もしていたが、最近はずいぶん安い麻雀機が出現してきたようである。

ブリッジは、2人同士の2チームの対戦である。麻雀も4人でテーブルを囲むが、4人がそれぞれ個々に敵対し個人戦を戦い、①・②・③・④の順位を争う。
麻雀はテーブルゲームであり、ゲーム専用の盤は使用しない。従って麻雀用のテーブルはあるが、罫線等は一切引かれていない。麻雀卓は60~70糎(センチ)四方の正方形の卓で、卓の周りに枠が設けてある。枠の底の卓の天板には、緑色のフエルトが貼ってあるのが一般的である。

百人一首は盤やテーブルを使用せず、畳敷きのお座敷で行う『座敷ゲーム』である。
鎌倉時代の藤原定家(1162~1241年)が選んだ秀歌選が小倉百人一首と呼ばれている。小倉百人一首で「歌かるた」が作られている。かるたは短冊形の厚手の紙札で、「読み札」100枚と「取り札」100枚が1セットになっている。「読み札」は、歌人の「絵姿」・「名前」・「歌」が書かれている。「取り札」は、歌の下の句だけが「ひらかな」で書かれている。

百人一首で行われるゲームは、「坊主めくり」と「かるた取り」が有名である。
「坊主めくり」は多人数で行い、、「読み札」だけを使用する。読み札を全て裏返しにして積み上げ、山札とする。参加者が順次に山札を1枚だけ取って、自分の手札にする。
取った札の種類により下記を行う。
  • 歌人が坊主以外の男ならば、自分の手札に加える。
  • 歌人が坊主ならば、自分の手札を全て供出し山札の横に置く。
  • 歌人が姫ならば、供出の札全てを自分の手札に加える。
山札が無くなったら、ゲームの終了となる。手札の多さによって順位を決定する。

「かるた取り」は、大勢で行う場合と2人だけで行う「競技かるた」とがある。大勢で行うかるた取りは、読み手を一人選ぶ。取り札100枚を畳の上に散らして並べる。取り札の周りを、参加者が取り囲んで、読み手の歌詠みを待つ。この時不公平をなくすため、取り札はテンデンばらばらな向きに並べて置く必要がある。読み手が歌を詠み始めれば、取り手が取り札を取ってよく、その歌の下の句に該当する取り札を探し出し、自分の手札にする。
取り札が無くなれば、ゲームが終了する。手札が多い順に順位が決定される。

「競技かるた」は、「社団法人全日本かるた協会」の定めたルールで行われる本格的な『座敷ゲーム』である。毎年1月上旬に近江神宮(滋賀県大津市)で「名人戦」・「クイーン戦」が行われている。

競技かるたは、取り札50枚を使用し半分の25枚を自陣に並べ、残りの25枚が敵陣に並べられる。競技者には15分の暗記時間が与えられ、自陣・敵陣の各札の位置を記憶する。
読み手の読む「読み札」は、100枚を全部使用しランダムな順序で詠む。読み札が読み始められると、該当する取り札を早く取る競技である。自陣の札で勝った場合は、その札が取り払われる。敵陣の札で勝った場合は、自陣の札1枚を敵陣に送る。
自陣の札が無くなった方がゲームの勝者となる。札を取る手は片方だけと決められており、取り手の変更は違反となる。「お手付き」の場合は相手陣から1枚の札を送られる。

1月の名人戦・クイーン戦はNHKで放映されるが、競技選手の恐ろしいほどの集中力と瞬発力の早業に、思わず息を呑むこと必定である。
以上








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