最初に、井上武史(九州大学大学院法学研究院準教授)氏の意見を紹介します。
巷の「憲法改正論議」には、2つの特徴がある。
1.個別の改憲項目の是非にのみ注目し、日本国憲法全体の特性が踏まえられていない。
2.日本の憲法だけを見て、他の立憲主義国の動向が踏まえられていない。
この事実から出発して、憲法改正問題を より大きな視点から捉え直すことを試みた。
(1)日本国憲法は、分量の少ない「小さい憲法」である。欧米諸国の憲法と比べると一目瞭然である。
英単語数で比較すると、
アメリカ憲法 7762語
ドイツ憲法 27379語
フランス憲法 10180語
イタリア憲法 11708語
韓国憲法 9059語
日本憲法 4998語
(2)語数が少ないと言う事は、適用ルールが少ないと言う事が推察できる。
この事で、2つの事が推察できる。
①諸外国の憲法に規定されていることが、日本国憲法では欠落している。
例えば『政党条項』である。
諸外国の憲法では、『政党条項』を置いて、政党の役割や任務を規定すると共に、『憲法尊守の義務を政党に課す』事が多い。
日本国では、政党助成金として「毎年300億円以上の税金」が使用されている。
それに見合った『憲法的義務』が課されるべきなのは、当然である。
政党は多くの優遇処置を受けている。
しかれども、「政党に特別の憲法的義務が課されない」のは、不正常である。
政党は他の団体に比べ、優遇され過ぎている。
他の団体との関係で不公平である。
憲法に『政党条項』を置くことは、現状に照らしても「十分な理由」がある。
以上が、井上武史氏のご意見です。
これ以降は『日本国憲法』に対する、『私の意見』を申し述べます。
- 井上武史氏は、英単語で比較されていますが、私は日本語で比較します。
- 同氏の「日本憲法に『政党条項』を入れるべし」に大賛成です。
- 日本国憲法は、約660字に及ぶ前文が有る。哀愁に満ちた前文を、私は好まない。日本国の「主権在民」の基本思想に異論はないが、『各国の責務』とするのは無理である。「世界各国の政治機構は」複雑で様々である。『政治道徳の法則』は決して普遍的なものではない。こじれれば、戦争にもなり得る。
- 私は、日本国憲法の条文の多さに辟易している。第103条まである。井上武史氏によると、日本国憲法は「英語で小さい憲法」とされています。日本国憲法は、私としては「条文過多」で、『憲法の呈(テイ)』を成さないと思う。
- 私は日本国民として、日本国憲法をもっと単純な憲法にしたい(例えば米国憲法の様な)。以下に米国憲法を示します。米国憲法は1788年に発効し、現在も機能している『世界最古の成文憲法』である。現在(2020年)までに、232年を経過している。
- 以下に米国憲法の「標題」を列記する。
- 記
- 前文
- われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、われらとわれらの子孫のうえに自由をもたらす恵沢を確保する目的を持って、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する。
- 第1条 米国議会の定義。
- 第2条 大統領府。
- 第3条 司法制度。
- 第4条 州と連邦政府の関係。
- 第5条 憲法修正手続き。
- 第6条 憲法と、これに基づく法律と、「条約」を国内の「最高法」と定義。
- 第7条 批准の規定。
- 以上
- 極めて『簡にして要を得た』、米国憲法である。『3権分立』の思想が、手際よく述べられている。
改憲手続きは、現憲法の第96条に定めている。『改憲』の発議条件が極めて厳しく、当面は絶望的である。
韓国は9回、憲法を改正している。米国は18回・イタリア13回・スイスは1999年全面改定後6回の改定・ドイツは63回(法律レベルの話を憲法に含めている様である)。
日本国も、何とか『改憲』したい。固い決意で何としてでも頑張りましょう。お願いです。
以上