2017年11月23日木曜日

異論な話 第74話 女性の時代(極東編) 続編





1.蔡英文(1976/8―41歳/2017:ツァイ・インウェン)
中華民国総統(台湾)

右図は、台湾の略図である。* は原子力発電所の所在地である。蔡英文は、2025年までに原発全廃を目指すと表明している。

台湾の人口は、2,355万人/2017年である。(東京都人口:1374万人/2017年)
(韓国人口:5,125万人/2016年)

右図は、中華民国国旗(青天白日旗)である。

2016年5月20日から第14代総統となった、台湾初の女性総統である。
米コーネル大学にも留学しているが、英 ロンドン・スクールオブ・エコノミックス で法学博士(1984年:28歳)を取得。

フィリピン のロドリゴ・ドゥテルテ大統領が提起した国際裁判南シナ海判決:2016/7/12  フィリピン vs 中国 の仲裁裁判)では、「中華人民共和国」が「南シナ海」において主張していた『歴史的権益』について『国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する』というものであった。
処が中華民国総統・蔡英文は、この判決結果の一部に強く反発した。
①判決文中の「中国の台湾当局」という表現が、極めて不見識不当である。
②中華民国が実効支配している「太平島」を、島ではなく岩だとして排他的経済水域を認めないのは全く不当である。

台湾の中華民国は、『国際連盟』には加盟していない(出来ない)。日本は加盟しているが『敵国条項』該当国とされている。

蔡英文は、中華民国として『4つの原則』を公開提示している。
①国際法に基づいた平和的解決。
②多国・地域間協議に台湾を加える事。
③南シナ海における航行と飛行の自由を守る義務のある事。
④中華民国は争議の棚上げと資源の共同開発による紛争の解決を主張する事。

温厚・知的で、過激な言動はなく 清廉潔白な人柄である。
数度訪日しており、親日的で日本にとっては特別に大切にすべき総統である。

米国トランプ大統領との会見を希望したが、トランプが習近平(中華人民共和国・国家主席)との関係を重視し会見に応じてくれないので、2017年1月米国経由で中央アメリカ4か国(ホンジュラス・ニカラグア・グアテマラ・エルサルバドル)を歴訪し友好関係を築く努力を行った。

「中華民国」は中国大陸の極近くに、金門馬祖の諸島群を実効支配しているが 中華人民共和国との間の領土紛争はない。
金門島には空港が有り、台湾の主要都市に定期便が運航されている。

台湾の全輸出(約30兆円)の4割が中華人民共和国向けである。
また大陸に住む台湾人は100万人程度と見込まれている。

台湾は国連非加盟であるが、「国連安保理決議」に協力し、北朝鮮との貿易を全面禁止する『経済制裁』を行っている。

2.朴槿恵(1952/2―65歳/2017:パク・クネ)大韓民国第18代大統領


第5~9代大統領朴正煕の長女である。
西江(ソガン)大学校電子工学科を卒業後、仏グルノーブルに留学中、1974年8月母親が暗殺されたため急遽帰国した。以後父親の「ファースト・レディー」役を務めた。

1979年10月、父朴正煕が暗殺された。朴槿恵27歳で、父を失い両親ともに暗殺されたことになった。
1998年の国会議員補欠選挙に当選し(46歳)政界入りした。
2013年2月61歳で大統領に就任した。韓国初の女性大統領である。この時の国民の支持率63%であり極めて高い。
経済復興・国民幸福・文化隆盛を唱え、希望の時代を切り開くと宣言している。
更に「北朝鮮が核放棄し平和と共同発展の道に進むことを願い韓民族が豊かに・自由に・自分の夢を成し遂げられる幸福な統一の基盤を作りたい。」と語った。
素直に自分の気持ちを述べたものと思う。彼女の温かい素朴な人柄が感じ取れる言葉である。

これが各国の賛同を得て、国連安保理の北朝鮮制裁決議(2094号)に繋がっている。
これは、朴槿恵の外交上の大功績であると認めてよい。
朴槿恵は、アジア第4位の資本と技術力が、北朝鮮の人的資源・天然資源と結合すれば飛躍・活力の源泉になると南北統一に強い意欲を示していた。
しかしこれは、政策化されず願望のままで残された。

朴槿恵は、対中国政策に熱心で相互に留学生を6万人程度送り込んでいる。
中国は、韓国国債の最大保有国であり、また韓国の最大貿易相手国でもある。
韓~中 間には、毎週800便程度の航空便が運航されている。

2016年10月、友人崔順実(チェ・スンシル)の国政介入問題で弾劾訴追され12月国会で訴追案が可決された。このため彼女の、大統領職務が停止された。

現在(2017/11月)は、収賄罪で逮捕されている。但し本人は18件起訴内容全てを否認している。

韓国大統領の末路は、悲惨な人が多い。自殺者の例もある。

3.小池百合子(1952/7―65歳/2017)東京都知事


衆議院議員であったが、2016年の都知事選で、『東京都の改革のため、崖から飛び降りる覚悟で臨みます。』と宣言して当選した。

彼女は、カイロ大学文学部社会学科(エジプト)卒業である。
帰国後テレビ番組のキャスターをしており、1990年度「日本女性放送者懇談会賞」を受賞している。

小池百合子は、目端の利く人である。
第16回参議院通常選挙(1992/7/26)で、日本新党比例区で細川護熙・小池百合子40)他2名 合計4名が当選した。

第40回衆議院総選挙(1993/7/18)で小池百合子は、小選挙区兵庫2区日本新党で当選した。この時自民党は過半数に至らず、細川連立内閣が誕生した。
小池百合子(41歳)は、内閣総務次官を拝命している。

2003年「第1次小泉2次改造内閣」で初入閣(51歳)し、「環境大臣」になった。
「第2次小泉内閣」では「沖縄&北方対策特命担当大臣兼務した。

第1次安倍内閣(2006/9/26―2007/9/26)では、初代防衛大臣久間章生(キュウマ・フミオ)が不適切発言で辞任し、小池百合子(54歳)が防衛大臣を拝命した。

国会議員として実績を重ねた小池百合子であるが、彼女独特の『極めて鋭敏に研ぎ澄まされた目端を利かし』、都知事選に立候補し、初の女性都知事」の誕生となった(64歳)。まさに華麗な転身である。
処が「持って生まれた性格」は如何ともしがたく、『色んな処に目端を利かし』やたら首を突っ込んでくる。どう考えてみても、一途な健闘を期待する方が無理だった。

都知事でありながら、2017/9/25「希望の党」を結成し、小池百合子が代表となった。
第48回衆議院総選挙で民進党との合流を意図したが、彼女が「候補者選別」の意向を表明したので、一般の強い反感を買った。
民進党党首・前原誠司は、「希望の党」を前提に、『民進党から衆議院立候補者を出さない』と勝手に決めた。彼は「話の詰め」が甘く、民進党内に多様な流れを生じさせた。

無所属立候補・希望の党立候補・立憲民主党(党首:枝野幸男)結成などである。
選挙結果は、自民党の大勝であった。但し野党第1党は立憲民主党55名、希望の党50名、公明党29名…であった。この結果は、順風満帆に人生を切り開いてきた小池百合子の生涯で、恐らく初めての強烈な逆風であった。
東京夏季五輪は、残り3年を切ってしまった。『東京五輪』・『東京都の改革』は待ったなしである。今後都知事として、全力で取り組んでくれるものと期待している。

豊洲の安全性の問題は、未だ何の方向性も見出していない。豊洲は、東京ガスの「石炭乾留工場」の跡地で、ベンゼンヒ素シアン・・・等が検出されても、何の不思議もない。

小池百合子の今後に残された最大の責務は、都知事の仕事に専念することである。
彼女の「都知事としての」即断即決・快刀乱麻、三面六臂の大活躍を期待している。
以上





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