2014年6月5日木曜日

STAP研究白紙撤回

2014年6月5日の毎日新聞の一面トップに「STAP研究白紙」を報じていた。
動物の体細胞に外部刺激を与えて、幹細胞を造るという研究である。
幹細胞とは、「様々な組織に分化できる機能を持った細胞」のことである。

動物の身体・知能は、受精卵という唯一個の細胞から分裂増殖を繰り返しながら造り上げられる。ひとたび体細胞に分化してしまった細胞は、それぞれの体組織の細胞として所定の役割を果たして行く。皮膚細胞は血管細胞には成りえず、血管細胞は皮膚細胞には成りえない。
受精卵は、分裂を繰り返しながら、多数の幹細胞を経て身体組織を造り上げてゆく。

人工的に幹細胞を造る手法は、京都大学の中山伸弥氏により、既に iPS細胞として手法が開発されている。中山氏はこれによりノーベル賞を受賞している。
iPS細胞は、4つの遺伝子(中山因子)を体細胞に導入し、幹細胞にリセットさせたものである。

小保方晴子氏のSTAP研究では、「体細胞を37℃の酸性溶液(PH5.7)に25分間浸すことにより、幹細胞にリセット出来る」と主張している。
2014年1月英国の権威ある科学雑誌「Nature」に小保方晴子氏とハーバード大学チャールズ・バカンティ(Charles Alfred Vacanti)氏・山梨大学若山照彦氏の共同研究として論文が掲載され脚光を浴びた。

このたびの白紙撤回により、「理化学研究所」の権威が問いなおされる仕儀と相成ったのは誠に残念である。野依良治理事長も心を痛めておられることと推察します。
小保方晴子氏の最大の不幸は、今までの研究生活の中で厳格な指導者に恵まれなかった事であろうかと思います。科学的な研究は、発想や願望も大切であるが自然の原理に裏付けられている必要がある。裏付けの原理・論理の得られない研究は、絶対に暴走させる訳にいかないのである。厳格な指導者の監督下にあれば、暴走による不祥事は起こりえないのである。

小保方晴子氏のSTAP細胞の発想は、素晴らしい着想であった。
彼女の Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cell(刺激惹起性多能性獲得細胞:シゲキ・ジャッキセイ・タノウセイ・カクトク・サイボウ)は、マウスのリンパ球を弱酸処理して得られたと主張している。ここでの最大の問題点は、STAP細胞の再現性の実証が何よりも大切な事なのである。
マウスの胃袋の中に、胃酸の環境下でSTAP細胞のようなものが見つかるかどうか調べてみる価値は無かったのだろうか。
小保方晴子氏に厳格な指導・監督者がいたならば、彼女の暴走は起こりえなかったであろうと思うと返す返すも残念である。

2009年12月4日に、ブログ『異論な話』の第四話を掲載した。第四話のタイトルは「事業仕分」である。(自著「異論な話」:発行所風詠社2013年3月27日第1刷発行)
政権交代が行われ初の民主党鳩山内閣が誕生し、枝野衆議院議員・蓮舫参議院議員の「事業仕分」は快刀乱麻で適役だった。

超高速計算機開発予算7千億円は、事業仕分で「要検討」にされてしまった。蓮舫議員の「世界第2位では、なぜ駄目なのですか」との鋭い舌鋒がこたえたらしい。こうゆう場合の官僚たちの常套手段は、著名人を修羅場に放り出して説明してもらう事である。

官僚たちの常套手段に乗せられて、2001年ノーベル化学賞受賞の野依良治氏が「修羅場」で説明する仕儀と相成りました。野依良治氏は、「科学技術向上のための先行投資は日本国の存亡に係る不可欠のもの」との趣旨の説明をされておりました。
但し、残念ながら仕分け作業は一般論を対象にしません科学技術向上のための先行投資項目は、掃いて捨てる程沢山あります。これを「掃き捨てるもの」と「残すもの」とに仕分するのが、事業仕分であります。従って、『どういう手法・基準で仕分するのか』が議論の対象なのである。

星霜移り人は去り、野依良治氏が「修羅場」で説明されてから5年が経ちました。
今や独立行政法人「理化学研究所」の真価が問われる事態となっております。
理事長野依良治氏が自ら率先して、研究事業の『事業仕分』を推し進めるのが肝要ではないかと思われます。理事長の手腕に、大いに期待しております。
以上



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