「原電」により、日本最初の原子力発電所が東海村に建設された。東海原子力発電所1号機である。英国製のコルダーホール型発電炉である。輸入炉ではあるが、耐震性については日本独自の工夫がなされている。中性子減速材は黒鉛であり、燃料は天然ウランを使用する。
1960年1月16日着工、営業運転開始は1966年7月25日である。電気出力は、僅か17万kw程度である。この炉の本来の目的はプルトニウム製造である。燃料再処理は英国が行うことになっていた。運転終了は、1998年3月末日である。以降廃炉作業が行われている。
11年後1971年11月韓国古里原子力発電所着工、12年後1972年6月台湾金山原子力発電所着工の順になっている。韓国に次いで台湾は、極東で3番目の原子力発電所設置地域となった。
第一原子力発電所1号機は、1972年6月2日着工、1978年12月10日営業運転を開始している。出力60万kwの沸騰水型原子炉(BWR)である。福島第一原子力発電所と同型である。
極東で「沸騰水型」と「加圧水型」の両方を設置しているのは、日本と台湾である。韓国と中国は「加圧水型」だけである。
台湾は九州とほぼ同じ位の大きさの島である。世界最大の島はグリーンランド(デンマーク領)である。参考までに本州・北海道・九州・四国と台湾の島面積世界ランキングを示す。
7位 本州
21位 北海道
36位 九州
38位 台湾
49位 四国
台湾と九州の対比を行う。参考までに、約倍の面積を持つ韓国も対比に加えた。
九州 台湾 韓国
①面積 36,749平方km 35,801 100,210
②人口 1,315万人 2,324 5,000
③原発 6基526万kw 6基494万kw 25基2,312万kw
④電力会社 九州電力 台湾電力公司(国営) 韓国電力公社(国)
⑤発送電 独占 独占 分離
送電公社株51%国有
多数の発電会社あり
台湾電力の燃料別発電割合は下記である。(2010年統計)
①石炭 49.9%
②天然ガス 24.6%
③原子力 16.9%
④石油 3.8%
⑤水力 2.9%
⑥その他 1.9%
台湾には、ウラン濃縮工場や原子力発電所用の燃料集合体製造工場は全くない。原子力発電所用の燃料集合体は全て、外国に注文して輸入している。
使用済み燃料の再処理も、外国に依存するほかないと推定する。現在のところは、原子力発電所の使用済み核燃料は全て、各原子力発電所毎に各々保管されている。
2011年統計であるが、各発電所の使用済み燃料プールに保管されている使用済み燃料集合体は、合計約15,000体である。各発電所の使用済み燃料プールの保管能力は、合計約20,000体である。
当面問題はないが、早晩「燃料プールの増設」か「使用済み燃料の再処理委託」を行うことになると推測する。
台湾は、火力発電所11か所・水力発電所11か所・原子力発電所3か所がある。目下原子力発電所の4か所目を建設中である。
台北の北方に第一・第二原子力発電所、台湾の南端に第三原子力発電所、台北の東方に第四原子力発電所がある。
各原子炉の一覧表を以下に示す。
場所 号機 万kw 着工 商業稼働 型式
第一 1 60.4 1972/6/2 1978/12/10 沸騰水型(BWR)
(金山) 2 60.4 1973/12/7 1979/7/15 沸騰水型(BWR)
第二 1 94.8 1975/11/19 1981/5/21 沸騰水型(BWR)
(国聖) 2 94.8 1976/3/15 1983/3/16 沸騰水型(BWR)
第三 1 91.9 1978/8/21 1984/5/9 加圧水型(PWR)
(馬鞍山) 2 92.2 1979/2/21 1985/5/18 加圧水型(PWR)
第四 1 130.0 1999/3/31 未定 改良沸騰水型(ABWR)
(竜門) 2 130.0 1999/8/30 未定 改良沸騰水型(ABWR)
改良沸騰水型炉は、日本で改良された沸騰水型の原子炉である。竜門原子力発電所は、米国を経由させる日本からの間接輸入が前提になっている。
住民の反対運動も強く、設置の可否は住民投票(2013年8月の予定)で決める予定である。
福島第一原子力発電所で炉心溶融事故を起こしたMark-I 型のBWRは、安全上の問題点が多い。このため、日本国内では廃炉又は営業運転終了の処置がなされている。
台湾の金山原子力発電所1・2号機は、Mark-I 型の格納容器である。現在も、けなげに頑張って商業運転を続けている。台湾は、日本に負けないほどの巨大地震が起こりうる場所である。ただひたすら無事を祈っている。
台湾の南端から東方80km程の所に蘭嶼という島がある。この島に台湾当局は1980年核廃棄物貯蔵所の建設を開始した。核廃棄物貯蔵は1982年から実施されている。1988年2月、現地のヤミ族の団体が核廃棄物貯蔵所に対する反対運動を始めている。
以上
0 件のコメント:
コメントを投稿