中国の核施設は、ほとんど中国核工業集団公司とその子会社の所有である。
ウラン濃縮工場は、略中国の中央部である甘粛省蘭州と陜西省漢中の2か所にある。両方合計で1,000トン/年の低濃縮ウランを製造できる。
蘭州には燃料再処理工場も建設中である。
原子力発電所は、海沿いの13か所に設置し稼働中又は建設中である。計画も含めれば、合計47基であり、日本の建設済み54基に比べれば見劣りする。
中国のウラン生産量は、世界第10位で(2008年)770トン/年程度である。現在稼働中の原子炉は、13基程度なので、原子力発電用燃料に限定すれば、産出・濃縮ともに設備余力がある。将来的には、ウランの輸入が必要であろうと思われる。
中国の原子力発電の特徴は、100万kw級の原子力発電所を、設計・建設していることである。さらに、ウラン濃縮から燃料再処理までの一貫設備の準備を進めており、これは日本と同等である。
中国のほとんど全ての原子力発電所は、加圧水型原子炉(PWR)である。日本で炉心溶融事故を起こした、福島第一原子力発電所のような沸騰水型原子炉(BWR)は、1基もない。
ただし韓国と同様、特殊な原子炉を2基だけ設置している。カナダから輸入したCANDU炉で、重水減速の天然ウラン燃料の原子炉である。
下に、原子力発電所の位置を記した中国の地図を示す。
* 印が原子力発電所の位置である。全て海岸部である。
現在の中国の簡略漢字を、日本用漢字に書き換えるのに苦労しました。
2.日本・韓国・中国の比較
日本 韓国 中国
①人口 1.28億人 0.50億人 13.54億人
②基数 54 32(計画中を含む) 47(計画中を含む)
③基数/人 42.2基/億人 64.0基/億人 3.5基/億人
④原子炉 加圧水型・沸騰水型 加圧水型 加圧水型
⑤所有者 電力9社他 電力公社の子会社 核工業集団公司
(水力原子力発電会社)
⑥濃縮工場 1か所 なし 2か所
⑦再処理 1か所 なし 1か所
⑧方向性 廃止を含め検討中 強力推進 強力推進
3.遼寧省の原子力発電所
大連の近くに紅沿河原子力発電所4基を建設中である。2007年から毎年着工し2013年or 2014年運開目標。
4.山東省の原子力発電所
山東半島の青島の近くに海陽原子力発電所3基を建設中である。2009年から毎年着工、2014年から順次運開予定。
5.江蘇省の原子力発電所
田湾原子力発電所2基が稼働中である。運転開始は2006年と2007年である。
6.浙江省の原子力発電所
上海近くの泰山原子力発電所は、1~5号機は稼働中である。2-1,2-2号機はカナダから輸入したCANDU-6である。これも稼働中である。この炉は重水減速の天然ウラン燃料の原子炉である。
三門原子力発電所2基は、2009年着工で2013年10月と2014年6月運開予定。
7.福建省の原子力発電所
北側の福清原子力発電所4基は2008年から毎年着工され、2013年10月から毎年運開予定である。
寧徳原子力発電所4基は2008年と2010年着工し、2014年or 2015年と2016年or 2017年運開予定である。
8.広東省の原子力発電所
大亜湾原子力発電所2基と嶺澳原子力発電所4基は稼働中である。
台山原子力発電所2基は2009年と2010年着工した。フランスの技術を導入した欧州型PWR(加圧水型炉)である。
陽江原子力発電所1~4号機は、2008年から毎年着工された。2013年から毎年運開予定である。5・6号機は計画中である。
9.海南省の原子力発電所
海南島の海南昌江原子力発電所1・2号機は2010年着工で運開は2014年を予定している。3・4号機は計画中である。
以上