2012年10月10日水曜日

福島第一原子力発電所の事故調査報告

2011年3月11日に発生した大震災と大津波で、福島第一発電所の原子炉は炉心溶融事故を起こしました。事故の詳細な経緯の解析やその後の処理等については、主として4つの機関から、調査報告書が出されております。

        名称                  委員長             提出時期

国会 東京電力福島原子力発電所   黒川清                 2012年7月5日
    事故調査委員会           元日本学術会議会長

政府 東京電力福島原子力発電所   畑村洋太郎              2012年7月23日
    における事故調査・検証委員会  東大名誉教授

民間 福島原発事故独立検証委員会  北澤宏一                2012年2月27日
                          前科学技術振興機構理事長     

東電 福島原子力事故調査委員会   山崎雅男               2012年6月20日
                          東電代表取締役副社長:当時

  • 国会の報告
事故は『人災』であると結論しています。提案の実施計画とその進捗を国民に公表することを国       会に求めています。
  • 政府の報告書
地震・津波の自然現象に起因するが、『人為的な様々な問題点が存在』したとしています。
政府・関連機関に対し、提言の実施とフォローを求めています。

  • 民間の報告書
『人災』の性格が濃厚としています。これは東電が「全交流電源喪失事故」の備えを怠ってきた結果であるとしています。
それを許容した『規制当局』も、同罪としています。

  • 東電の報告書
津波の想定については、最新知見ににもとづき対策努力をしてきたものの『結果的に甘かった』と反省しています。これでは実際的には、『津波対策を怠った言い訳』にしかなっていないようです。


事故状況を整理してみます。

①震災時、1~3号機は、運転中でした。炉心が溶融して、水素が多量に発生し、原子炉建屋・タービン建屋共に『水素爆発』で大破しました。2号機原子炉建屋はブローアウトパネルが損傷し解放状態でした。
4号機は定期点検中で、炉心溶融事故はありません。しかし3号機のタービン建屋から水素が回り込み、4号機も『水素爆発』で大破しました。
5・6号機は、やや離れた別の高所にあります。定期点検中で、炉心溶融事故はありません。水素爆発もありません。

事故状況の写真を次に示します。『政府事故調』の資料から引用しました。
3号機原子炉建屋の損傷状況です。

 

参考までに、事故以前の『福島第一原子力発電所』の全景写真を示します。

南から北に向向けて撮影された写真です。

手前から1~4号機、やや離れた高所に5・6号機があります。

提供は東京電力(株)です。


炉心溶融した原子炉の型式は『沸騰水型(BWR) Mark-Ⅰ』です。
この型の原子炉は、格納容器の構造が複雑で、格納容器体積が小さかったのです。
これ以降の改良型BWRや、他社の加圧水型原子炉(PWR)に比べ、安全上の問題点が多かったようです。

1~4号機は2012年4月20日廃炉が決定されました。
福島第一原子力発電所の6号機は『Mark-Ⅱ型』です。

中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の1・2号機は『BWR Mark-Ⅰ』です。
2009年1月30日をもって「営業運転」を終了しました。恐らく廃炉となるでしょう。
3・4号機は、『BWR Mark-Ⅱ改良型』です。


以上

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