日本の調査捕鯨は、1987年以降継続して行われていたものである。捕鯨は財団法人日本鯨類研究所(ICR:Institute Cetacean Research)が行っており、捕鯨船と乗組員は共同船舶(株)からチャーターしている。共同船舶は、「調査捕鯨」を独占受託するためだけの目的で設立された正真正銘の民間会社である。
Cetacean とは、クジラ・イルカ等の「クジラ目」の動物の事である。
ICRの2011年度のキャッシュフローを調べてみると、3大収入源は下記である。
- 副産物収入 32.9億円 鯨肉販売
- 補助金等収入 25.3億円 政府補助金
- 調査受託収入 1.3億円 政府調査発注
調査捕鯨の年間捕獲頭数は下記である。(IRC発表データ)
北西太平洋
- イワシクジラ 100頭
- ニタリクジラ 50
- ミンククジラ 220
- マッコウクジラ 10
南極海
- クロミンククジラ 850
- ナガスクジラ 50
捕獲頭数の70%が南極海であるから、差止めの影響は極めて大きい。
年間1300頭も捕獲し鯨肉販売で33億円/年を稼いでいたので、商業捕鯨とみなされたのであろう。
これはICRの受け売りであるが、推定資源量と年間捕獲頭数の対比を以下に示す。
鯨種 推定資源量 捕獲頭数/年 割合
イワシクジラ 21,612 100 0.46 %
ニタリクジラ 20,501 50 0.24
ミンククジラ 42,257 220 0.52
マッコウクジラ 102.112 10 0.01
クロミンククジラ 761.000 850 0.11
ナガスクジラ 11,755 50 0.43
この様な研究成果は、海外向けに論文発表し、商業捕鯨が可能であることを主張しなければならない。国際捕鯨条約の目的は、「鯨族の適切な保存を図り、捕鯨産業の秩序ある発展を可能にする」ことにある。
目的に沿った調査捕鯨であったことを、全世界に広くPRすべきであろう。
IRCは調査捕鯨が条約目的に沿った活動であり、様々な貢献・成果を得ていることを強く主張すべきである。IRCはこのことを論証する国際的な論文を数多く作成し、これを全世界に発信することに、総力を結集して当たらなければならない。ただし「推定資源量の推定増加率」も忘れずに発表する必要がある。
このためのICR向け資金供給やPR手法の援助等を、日本国政府は惜しんではならない。
歴史と文化に根差した沿岸捕鯨は、世界各所で行われているが、捕獲頭数は少ない。
現在商業捕鯨(?)を行っているのは日本以外にはノルウェー(500頭程度)とアイスランドだけである。四面楚歌で「環境保護」の大合唱に取り囲まれている。
大合唱の首謀者たちは、自国の畜産業の輸出が最大の関心事で、他国の海洋資源の利用に強硬に反対するのである。「捕鯨産業の秩序ある発展」などは以ての外と考えている。
海洋国日本としては、何としてでも捕鯨権益は守って行かなければならない。そのために日本国政府は、長年にわたりICRに補助金を給付し続けてきたのである。
ICRの存続を懸けた大活躍を期待している。
米・豪は 目くじら立てて 自然保護
雲行
以上